公開講座

森林環境情報学分野 芝 正己


 平成3年以来、芦生の夏の恒例の行事となって来た京都大学フィールド科学教育研究センター公開講座を7月27日(木)~29日(土)の二泊三日の日程で実施した。

 今回で16回目となる今年の公開講座は、「森のしくみとその役割-今、芦生の森で!」というテーマで、中一日の野外での森林の観察・体験学習と、前後両日の講義という例年と同様なプログラム編成で行った。ただし今回の特徴は、募集人員を従来の50名規模から30名へと変更したことで講義・実習内容がより高密度のものになったこと、副題の“今、芦生の森で!”に象徴されるように、目下、芦生の森林が直面している「野生生物:シカの食害」、「ナラ類の集団枯損病:カシノナガキクイムシによるナラ枯れ」、「林内のオーバーユース:一般入林者の急増対策」に焦点を当てた問題提起型の内容になったことである。

 三日間のプログラム内容の概略は以下の通りである。

 7月27日(木)「芦生の森の異変(講義)」

    13:00-13:15  開講挨拶 >> 田中克教授(センター長)
    13:15-13:30  芦生研究林の概要 >> 芝正己助教授
    13:30-14:15  芦生の森林 >> 安藤信助教授
    14:30-15:15  森林レクリエーションと環境整備 >> 坂野上なお助手
    15:15-16:00  森林と野生生物:シカの影響をどうとらえるか >> 高柳敦講師(農学研究科)
    16:00-17:15  樹木識別入門 >> 技術職員担当

 7月28日(金)「森林の観察・体験学習」

    08:30-09:30  芦生研究林構内集合
    09:30-12:30  天然林内(上谷コース)での講義並びに実習(班別行動) >> 森林系教員・技術職員合同担当
    12:30-13:30  昼食(長治谷作業所広場)
    13:30-15:45  天然林内での講義並びに実習(コース別行動:三国、地蔵・笹峠、下谷の3コース) >> 森林系教員・技術職員合同担当
    17:30-20:00 夕食会(スタッフ参加)

 7月29日(土)「芦生の森の異変(講義)」

    09:00-09:45  森林と環境教育 >> 中島皇講師
    10:00-10:45  ナラ類の集団枯損病:微生物と小さな虫がもたらす森の災厄 >> 二井一禎教授(農学研究科)
    11:00-11:30  質疑応答・アンケート
    11:45-12:00  閉講挨拶 >> 竹内典之教授(副センター長)

 農学研究科及びセンターからの講師の先生、農学研究科事務室及び企画情報室のスタッフ、現場支援参加の他研究林・試験地の技術職員の皆様には、準備段階から大変お世話になりました。この場を借りてお礼を申しあげます。

ニュースレター9号 2006年12月 教育ノート