全国フィールド科学シンポジウム 「森-里-海をつなぐフィールドサイエンス」

河口域生態学分野 田川 正朋


 京都大学フィールド科学教育研究センターの主催により、標記シンポジウムが平成18年12月19日に、京都大学百周年時計台記念館国際交流ホールにて開催された。

 このシンポジウムは、これまで北海道大学、琉球大学、および京都大学の3フィールドセンターの水圏研究者が、全国規模での共同研究を発案・企画するため、2002年度より行ってきた連携シンポジウムが、いわば発展的に解消して企画されたものである。その第2回となる今年度は、演習林や臨海実験所など全国のフィールド関連研究センターに声をかけ、「森-里-海をつなぐフィールドサイエンス」と銘打って開催された。

 演題と演者は以下の通りである。

    1)北海道北部での森・人・水のつながり:物質循環と水質形成
       柴田英昭氏(北海道大学北方生物圏フィールド科学センター)

    2)フィールドサイエンスへのリモートセンシング技術の利用
       斎藤元也氏(東北大学大学院農学研究科複合生態フィールド教育研究センター)

    3)流域環境と渓流生態系の関係~生息場構造を通じた連環を考える~
       竹門康弘氏(京都大学防災研究所水資源環境研究センター)

    4)ヒノキ人工林流域における水・物質循環-九州大学福岡演習林御手洗水流域における事例-
       大槻恭一氏(九州大学大学院農学研究院森林資源科学部門・演習林)

    5)有明海筑後川河口域の生態系にみる川と海の連環
       田中克氏(京都大学フィールド科学教育研究センター)

 シンポジウム当日は晴天にも恵まれ、約160名の参加者が集まる盛会となった。これほどの方々に参加して頂けるとは当初予想していなかったため、会場では座席が不足し一時立ち見も出るほどであった。聴衆の方々にはご迷惑をおかけしてしまったが、主催側としては嬉しい誤算であった。参加者は学生から研究者、一般参加者までと極めて幅広かった。会場での質疑応答も活発かつ多岐にわたり、「森-里-海をつなぐフィールドサイエンス」に対する興味の高まりを感じさせるものであった。

 来年度は琉球大学の主催で開催されることが決定されている。詳細は決まり次第、京都大学フィールド研のホームページにも掲載する予定である。

 最後になったが、本シンポジウムにはフィールドセンターの教職員や院生をはじめとする多くの関係者に多大な協力を賜った。シンポジウムの実施を担当した教育プログラム委員会の一員として、この紙面を借りて感謝の意を表したい。

ニュースレター10号 2007年3月 研究ノート