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お知らせ

入林禁止期間に関するお知らせ/Notice of forest entry prohibition

日頃より研究林の教育・研究活動にご理解とご協力をいただき、ありがとうございます。

今年度は積雪量が多かったため、林道除雪や倒木処理に時間がかかることが見込まれます。

林道整備作業時の安全確保のため、以下の期間は入林を禁止します。

入林禁止期間:2025年4月18日(金)まで

なお、作業の進捗状況によっては期間を延期する可能性がありますので、ご承知おきください。

延期の場合は、判断ができた時点で再度メールをお送りいたします。

また研究林全域にて、銃器を用いた柵内のシカ捕獲を4月30日(予備日5月2日)に行うことが決まりました。

研究林全域入林禁止日:4月30日(水)、5月2日(金)

共同利用者の方等、関係すると思われる方にもご周知願います。

ご不明な点がございましたら、芦生研究林までお問い合わせ下さい。

ご不便をおかけしますが、よろしくお願いいたします。

Thank you for your understanding and cooperation in the educational and research activities of the Ashiu Forest Research Station.

This year, due to the heavy snowfall, it is expected that it will take time to clear the forest roads and deal with fallen trees.

To ensure safety during the forest road maintenance operations, entry into the forest will be prohibited during the following period:

Forest Entry Prohibition Period: Until Friday, April 18, 2025

Please note that depending on the progress of the work, the entry prohibition period may be extended. If an extension is necessary, we will send another email as soon as the decision is made.

Deer hunting using firearms will be held on April 30 (reserve date: May 2) in the entire forest. You are not allowed to enter the forest regardless of the area.

Forest Entry Prohibition Dates: Wednesday, April 30, and Friday, May 2.

Please inform your co-users and others who may be involved.

If you have any questions, please contact the Ashiu Forest Research Station.

We apologize for any inconvenience this may cause and appreciate your understanding.

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学生実習

京都大学「森里海連環学実習III :暖地性積雪地域における冬の自然環境と人の暮らし」実習報告

2024年度の森里海連環学実習Ⅲが2月18日から2月20日の日程で、芦生研究林において行われました。参加した学生は京都大学農学部、法学部、総合人間学部、工学部、理学部の1〜4回生9名でした。この実習では、冬、特に積雪に注目し、地球温暖化・人口減少・シカの食害などの課題を学び、それらの解決にむけて新たな森と人とのつながりについて議論することを目的としています。

実習初日は京都丹波高原国定公園ビジターセンター(以下、ビジターセンター)の見学や多雪地域での生活の様子を見学しました。

午前はビジターセンターの見学を行い、美山観光まちづくり協会(以下、美山DMO)の職員の方から、美山町の人口減少とそれに伴う様々な課題、そうした課題がある中でのまちづくりについて講義を受けました。

午後は佐々里地区に移動し、まず、中山間地域が直面する買い物の不便さを解消する方法の一つである移動販売車を見学し、お話を伺いました。次に、地域住民の方から、佐々里地区の歴史、現状や生活についてお話を伺いました。また、集落内の神社や家屋も見学しました。

佐々里での見学の後は芦生に移動し、「冬の植物・食害」、「温暖化と菌類」について講義があり、夕食をはさみ、「冬の野生動物の生態」というテーマで講義が行われました。

実習2日目は冬季の森林散策と栃へし(栃の実の皮を剥く作業)作業を行いました。

午前は、スノーシューを履いて林道を歩き、樹木や植物などの解説を交えながら、3時間ほどフィールドワークを行いました。前日からの大雪のために野生動物の痕跡を見つけるのには苦労しましたが、樹木の冬芽やシカの食痕など、様々なものを観察することができました。

午後は芦生山村活性化協議会の方を講師としてお招きし、その指導の下、栃もち作りの工程の一つである、栃へし作業を行いました。約2時間半の栃へし作業を終えたところで、栃餅をいただきました。また、この日の夕食は自炊して美山産鹿肉ときのこのカレーを食べました。

実習3日目は研究林資料館と美山かやぶきの里の見学、美山町の課題解決についてのディスカッションでした。

午前は研究林資料館を見学した後、美山かやぶきの里に移動して集落を見学しました。

午後はビジターセンターにて、美山DMOの職員の方から、Iターン者として美山町に来られた経緯や現在のお仕事についてお話を伺いました。大学卒業後、就職してまだ1年という学生に近いご年齢だったこともあり、その後、「美山町の抱える課題解決について学生としてできること」をテーマにグループディスカッションを行いました。グループディスカッション終了後、京都への帰路につきました。 今回の実習を通して、たくさんの地域の方によるご支援・ご協力を賜り、より芦生らしい実習を行うことができました。研究林教職員だけではなく地域の方とも交流を行うことで、冬山でのフィールドワークのみならず、地域生活や文化や課題といった幅広い知見を学生達は得られました。学生からは、「講義だけでなく、フィールドワークや地域の人との交流を通じて、暖地性積雪地域の自然環境の現状や、山村地域の実情について、実感を持って学ぶことができた」、「ディスカッションが多く、いろんな意見、考えが聞けた」といった感想がありました

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学生実習

ボゴール農科大学「Winter Program」実習報告

1月23日にボゴール農科大学(IPB University)の学生14名、教職員3名の計17名が芦生研究林で実習を行いました。これは、京都での1週間にわたるボゴール農科大学 Winter Programの一環で、芦生研究林にて冬の日本の森を学ぶ事を目的として実施されました。

実習は、鈴木華実助教による概要説明から始まり、その後、林内を約1時間散策し、最後に斧蛇館を見学しました。例年よりも積雪が少ない芦生でしたが、参加者ほとんどが雪を見るのは初めてであり、高揚した気持ちを抑えきれず、まるで子供のように無邪気に楽しんでいました。芦生の自然の美しさや雪の景色を堪能できたことは、非常に貴重な体験だったと思います。参加者にとって特別な思い出となったことでしょう。

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フィールド

「菌類ワークショップ」開催報告

10月12-14日に菌類ワークショップを開催しました。本ワークショップは、菌類多様性研究の促進と若手研究者の育成・交流を目的に、教育関係共同利用拠点「人と自然のつながりを学ぶ森林フィールド」の事業の一環として開催するものです。昨年度に引き続き2回目の開催となる今年は、若手研究者の講師3名と全国の大学・大学院生7名の参加者が集まりました。

 講師として、橋本陽 (理研BRC)、山本航平 (栃木県立博物館)、升本宙 (信州大学)を迎え、きのこ・地衣類・微小菌類といった幅広いグループの菌類について、観察のポイントや最新の研究トピックについてご紹介いただきました。

 日中のフィールドワークでは、講師から探索や観察のポイントを教わりつつ、各自が研究対象の菌類を採取しました。夕方、フィールドから戻った後は、標本の顕微鏡観察と講師の講義、参加者の研究紹介を行いました。特に、参加者の研究紹介では、各発表に対して講師や他の参加者から多様な視点のコメントが挙げられ活発な議論が交わされました。参加者にとって、研究の展開や新たな研究の方向性を考えるきっかけになったのではないかと思います。

また、今回のワークショップでは、昨年参加された講師や参加者から、前回採取した標本に関する研究成果の報告もありました。ワークショップが参加者の研究につながったことを嬉しく思います。今回採取された標本にも、未記載と考えられる種や芦生新産種が含まれます。今後の解析によって、芦生研究林の菌類相の解明が進むことが期待されます。

 フィールド研の研究林・試験地を利用したワークショップは、対象生物やテーマを検討しながら今後も継続的に開催する予定です。2025年度の菌類ワークショップは夏に開催予定です。今後の開催に関しては、フィールド研や芦生研究林のホームページやSNSで情報発信します。

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学生実習

京都府立北桑田高校「京都大学芦生研究林見学実習」実習報告

 11月14日に京都府立北桑田高校の「京都大学芦生研究林見学実習」実習が行われ、当日は21名の生徒が参加しました。北桑田高校は京都府内で唯一の林業に関する専門学科(京都フォレスト科)が設置されている高校です。この実習は「芦生の森について、講義を受け、実際にその森に入ることで地元地域の有する貴重な森林資源を体験的に学び、専門学科の学びを深める機会とする」ことを目的として行われました。

 当日は入山前に資料館で石原林長による、芦生研究林の概要説明が行われました。杉尾峠まで林道を約45分も車で走ることや、約4,200haという芦生研究林の広さに生徒たちは驚いていました。

 林内では、杉尾峠から長治谷までの上谷エリアと大カツラの見学を行いました。上谷エリアでは宮城技術職員が解説を行い、安全確保を山中技術職員が行いました。芦生の山を特徴づけるアシウスギ・ブナ・トチノキの解説、獣害による被害状況の解説、人と森の関り(木地師)など、幅広い解説を行いました。生徒たちは、解説を聞きながらメモを取ったり質問をしてくれたりと、非常に熱心に学んでいました。

 大カツラの見学では西岡技術職員による解説を行いました。芦生研究林に来る数週間前に、屋久島に見学に行かれていたようですが、屋久杉にも劣るとも勝らない大カツラを前に歓声が上がりました。

 実習後の生徒代表のお礼の挨拶では、「林業の専門学科といったこともあり、原生的な森の姿をみることは非常に少なくとても良い経験になりました。今日の経験を今後の進路にも活かしていきたいです。」という言葉をいただきました。生徒たちの言葉から、実習の目的を達成することができたことが伝わりました。

 林業では木を植える際の目安として「尾根マツ谷スギ中ヒノキ」と言い、スギは谷部に植えるのが良いとされています。しかし、芦生ではこの言葉とは異なり、天然のスギの多くは尾根付近に自生しています。これは積雪量に起因するのですが、実際に森を見て、自然から学ぶべきことは非常に沢山あります。

 卒業後には生態系の在り方などについても考えられる、広い視野を持った森林・林業技術者等になって活躍されることを期待します。

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学生実習

京都大学「ILASセミナー:森での感動を科学する」実習報告

2024年9月3日から4日の日程で、京都大学の1回生を対象としたILASセミナー「森での感動を科学する」が開催され、9名の学生が参加しました。

この実習では、森林環境が人間に与える精神的な影響を研究することをテーマに、学生が調査を計画、実施するものです。学生たちは森の木々や水、生き物などを見たり触れたりした時の表情を撮影し、AIによる表情分析を使って感情の変化を調べていました。

 ユニークな内容でしたが、学生たちはグループごとに仮説を立て実験し、データを解析して、考察するという研究の基本を実習を通じて学んでいました。

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イベント

京大ウィークス2024 芦生研究林一般公開 実施報告

10月20日に京大ウィークス2024 芦生研究林一般公開を開催しました。多数の応募をいただいたため抽選を行い、35名の方々に来ていただきました。

参加者は、秋晴れの少し冷たい空気のなか、教職員の解説を受けながら森林を散策しました。散策コースは2コース設定しました。原生的な植生景観を見ることができる「原生林散策コース」では、カツラやトチの巨木を見ながら由良川源流付近を散策しました。また、芦生の人と歴史を体感できる「森林軌道散策コース」では、芦生研究林やその歴史に触れながら森林軌道沿いを散策しました。参加者からは「カツラの大木を見ることができて良かったです。」「教職員の解説が分かりやすく、楽しい時間が過ごせました。」「芦生の歴史的背景の話が面白かった。」等の感想が寄せられました。どちらのコースも、参加者の方は芦生の自然や教職員の解説と対話を楽しんでいただけたようです。

芦生研究林は都市部からは遠く、なかなか来ることができない方も多いと思いますが、研究林の自然を堪能していただけたのではないでしょうか。

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学生実習

京都大学「Field Encounter」実習報告

2024年10月20・21日の二日間の日程で 京都大学大学院人間・環境学研究科附属学術越境センター 2024年度第1回「Field Encounter」芦生 が開催され、日本人学生1名、中国人留学生5名の計6名の大学院生が参加しました。

この実習は、「美山町の自然の保全と利用、芦生研究林における研究活動を学ぶ」をテーマに、今年初めて開催されたものです。

1日目、まず京都丹波高原国定公園ビジターセンターにおいて、一般社団法人南丹市美山観光まちづくり協会から「日本一の田舎」をキーワードに観光中心のまちづくりに力を入れている美山町の取組みについての講義を受けました。なぜ美山町がUNWTO(国連世界観光機関)よりベスト・ツーリズム・ビレッジに認定されるほどの評価を受ける観光地域になったのか、その背景にある人口減少問題や、消費者である来訪者だけではなく提供者である住民の視点も大事にした事業展開について学びました。

地元の料理旅館のお弁当を食べた後、かやぶきの里に移動し、地域のガイドさんに案内していただきました。かやぶきの里が国の重要伝統的建造物群保存地区になった経緯や、かやぶき家屋の作りについての解説を受け、さらに循環型社会が営まれていた昔の暮らしについて学びました。

夕方、芦生研究林に移動し、石原正恵准教授 (研究林長) より芦生研究林について、その歴史や現在直面しているシカの過採食をはじめとした諸問題に関しての講義を受けました。また、今年リニューアルオープンした資料館 斧蛇館を見学し、翌日の林内散策に向けてのイメージを膨らませました。

2日目、バスで長治谷に移動、そこからウツロ谷までの見学を行いました。往復約2時間の道中、植生、動物、きのこや生態系について、さらにかつて森を利用した人々の生活が営まれていた歴史についての解説を受けました。また、大規模シカ柵内の様子も見学するとともに、かつての下層植生があった頃の写真と比較することで、1日目の講義で学んだ芦生の現状問題についての再認識にも繋がりました。

下山後、参加大学院生が2日間の振り返りを行いました。今回の大学院生は、心理学・文学や言語学などを専門としており、森に関する研究とは全く異なる分野ですが、「聞くだけではなく実際に芦生の森に入ることで、植物と動物のつながりについて知ることができた」、「森は循環しており、人間も循環の中の一部であることを感じることができた」、「シカ問題と人間社会のつながりが印象深かった」などの感想がありました。また、「理系研究がどのように行われているのか、そしてその大変さを感じた」という文系学生ならではの率直な意見も聞かれました。学術を横断的につないでいこうとされている学術越境センターや、超学際研究教育拠点や森里海連環学を目標とするフィールド科学教育研究センター芦生研究林ならではの実習が実施できたと思います。


 

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学生実習

京都大学「ILASセミナー :京都の文化を支える森林:地域の知恵と生態学的知見」実習報告

2024年9月11日から13日の日程で、京都大学のILASセミナー「京都の文化を支える森林:地域の知恵と生態学的知見」が開催され、文学部・理学部・医学部・農学部・工学部の1、2回生9名(うち1名はコロナのためオンライン参加)参加しました。

京都は豊かな森林・水などの自然に支えられ、その資源を利用することによって古より発展を遂げてきました。多くの文明が環境破壊と生態系サービスの劣化によって失われた事実とは対照的に、京都の周辺は現在でも多くの森林や渓流が残り、京都の文化を支えています。

本科目は、京都文化を支えるこれらの自然の利用方法や森林に対する人々の知恵を知り、森林と人間の関係を科学的に捉える研究手法を実習を通して学び、人間社会と森林との新しい関係を考えることを目的としています。

1日目は、かつての里山、現在は都市近郊林である上賀茂試験地で行いました。里山の典型的な樹種やナラ枯れを観察し、炭焼き窯を見学し「新しい里山」としてのイオン環境財団との連携事業を学び、チェーンソー体験を行いました。その後、芦生研究林へ向かい、夜は芦生研究林の概要について講義を行いました。講義後は学生さん同士で交流を深めていました。

2日目は、原生的な森林である芦生研究林で、天然林とそこに生育する樹木などの生き物や大規模シカ柵内外の植生の見学を行いました。午後からは、栃の実の生産量や利用に関する調査を行いました。下山してから、「農山村・自然から学ぶことの大事さ」と題して、筑波大学大学院生の森山久美さんに講演していただきました。彼女は、小学生のときに山村留学で美山町に来られ、それがきっかけとなり、筑波大学で野外自然教育の研究をされています。とてもわかり易く、自然教育の意義や、美山町などの農山村や自然から私たちが学ぶことを講演してくれました。

森山さんの講演に対し、「今後の進路についての質問に森山さんが『いずれは博士課程に進みたいけれど、今進んでしまったらこの土地のことを何も知らない研究者になってしまう。』と答えていたのが印象的だった。ただ研究者になるという夢ではなく、そのような研究者になりたいのか、そのためには何が必要か考えている姿を見て、自身も医療の道で研究をしたいと考えているため、研究者には現場のことを知っている、現場のことを考えている、現場やそこにいる人々に寄り添っているという要素が必要だと感じた」との学生さんからの感想もありました。

3日目は、美山町の茅葺の里、京北町の木材市場「北桑木材センター」を見学しました。その後、北白川試験地へと移動し、北山台杉、間伐材を有効利用した建物、材鑑標本を見学しました。

今年は例年以上に、多様な学部の学生さんが受講しており、着眼点が多様でした。例えば工学部の学生さんからは、「今回の授業で得た学びの中でも特に印象に残っていることが、里山での木の生え方、そして森林と建築の木材を通じた関わりです。特に後者については建築物のどの部分にどのような木材が使われるのか、そしてどのような過程を辿って伐採された木が建材として利用されるのかを直接自分の目で見れたことは(就くかはわかりませんが)建築士となった時に大いに役立つと思います。このような体験をさせていただきありがとうございました。」という感想が寄せられました。

「今回の実習で人生で初めてスマートフォンもつながらないような奥山に行った。事前講義で学んだシカの増加の影響は普段生活するにあたってほとんど感じたことはなく、問題の重大性と緊急性はほとんどわからなかったが、実際山に入ってみると、地面にはシカの食害によりほとんど植物は生えていなかったし、樹木の樹皮も食べられてしまっている様子を見ることができて、この問題が実際にどんな影響を与えているか分かった。シカ柵の向こう側と全く様子が異なっていた。そしてこれまで同じような緑としか認識していなかった森林にはたくさんの樹種があり、よく見てみると中には枯れてしまっている木もあって普段の視野の狭さ、知識不足を身に染みて感じた。上賀茂や美山の里山との違いも分かった。里山は実際に人間の生活があって、昔のやり方とは異なるけれども守られている伝統がありこれを私たちは継承していく義務があるのだと感じた。森林にはたくさんの資源があって貴重な財産である。これは必ず守っていかなければならないものだ。初めて他人事ではないと感じた。」

また、コロナ禍の影響をうけた学生時代を過ごし、またデジタル・ネイティブな学生さんたちにとって、芦生研究林での宿泊を伴う実習とはどのような意義を持っているのかを担当教員に改めて認識させてくれる感想もありました。

「今回の実習の本来の意義とは少し関係ない感想にはなりますが、カレー作りや自然の家での宿泊など、小学生の頃に体験した喜びを改めて感じることができました。特にネット環境のない場所で友人たちと過ごす時間は、現代に生きる私たちに大切なことを思い出させてくれました。例えば、トランプゲームを通して生まれた高揚感や、自然の中で過ごすことで得られる心の安らぎなど、デジタル機器に頼らない対話の楽しさを再認識できたことは大きな収穫でした。一実習生が言うのもおこがましい限りですが、人々と触れ合う楽しさを思い出させてくれたこの実習を来年以降も是非続けてほしいと思います。」

「芦生研究林での合宿の、2日目の夜に食べたシカ肉のカレーがとてもおいしかったのもとても印象に残っている。シカの食害による山林での生態系の破壊が大きな問題になっているが、シカ肉のおいしさをもっと広めていくことで、シカの食害を食い止める上での一助になるのではないかと思った。」 学生の皆さん、猛暑のなか、お疲れ様でした。今後社会に出ていっても、森と皆さんの生活のつながりを忘れないでいてほしいと思います。

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学生実習

京都大学「ILASセミナー :芦生研究林の菌類多様性に触れよう」実習報告

9月23日~25日の日程で京都大学の1回生を対象としたILASセミナー 「芦生研究林の菌類多様性に触れよう」が開催され、5名の学生が参加しました。

この実習は、菌類の子実体 (きのこ) 相調査を通じて、菌類の生き方、森でのはたらき、そして多様性や生態の研究方法について学ぶことを目的としています。

1日目と2日目は冷温帯林の植生を観察しながら、落葉広葉樹林やスギの人工林など異なる植生の場所できのこを探しました。発見したきのこの種類を記録し、一部は持ち帰り図鑑と見比べながら同定作業を行いました。様々な色や形のきのこ、においの強いきのこなど多様なきのこが採集され、同定は五感を活用して進められました。2日目の夜には北海道研究林で開催されているILASセミナー「北海道のきのこの多様性と生き方」とオンライン発表会を行い、それぞれどのようなきのこが採集されたか、また自分の推しきのこを発表し合いました。

3日目は、野外調査を踏まえて菌類の多様性はどのように生まれているのかについて議論し、レポート作成を行い実習終了となりました。学生からは「色鮮やかなものや変な形のもの、臭いが強いものが多いことが意外だった」「菌類の多様性を調べるには、ほかの人物との協力が欠かせないと思った」「普段は目に見えない、気にも留めない菌類が自然の生態系の中でどのように分布しているのか、どんな役割を果たしているのかについて入口だけでも知ることができ、非常に貴重な体験となった」「京都に戻ってからも自然に想いを馳せることができるよう今回の体験をしっかりと心に刻み込みたい」といった感想が寄せられました。

今回作成されたきのこリストや標本は、実習だけではなく、芦生研究林の菌類多様性の解明に向けた研究としても活用されます。 参加した学生たちは、学部がばらばらで、10年以上のきのこ好きから初めてきのこを勉強するという学生まで様々でしたが、互いにコミュニケーションをとり楽しみながら菌類の生態について学べて、きのこや自然を身近に感じることができるようになった事でしょう。