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VR動画等オンライン教材制作に関する技術検討会

 2023年3月1日にフィールド研森林系技術職員を対象としたオンライン教材に関する技術検討会を上賀茂試験地で開催しました。コロナウィルス感染拡大を機に、オンラインやハイブリッド形式の講義が増加し、フィールド研の各施設においてもオンライン教材等の充実が求められています。そこでこの会では、施設ごとのオンライン教材の活用例を共有し、様々な教材の利点や可能性を検討することを目的としました。講師を芦生研究林の岸本技術職員、永井技術職員が務め、受講者は現地参加13名、オンライン参加5名の計18名でした。

 午前は、「VRと360度映像」について撮影・再生機器の紹介、撮影のポイントなどの講義と撮影体験が行われました。まず、講義でVR(バーチャルリアリティ:仮想現実)、AR(オーグメンテッドリアリティ:拡張現実)、360度動画、360度静画などの特徴と利点や撮影方法の要点の解説がありました。講義後に、参加者が実際にフィールドで360度動画の撮影を体験しました。

 午後からは「施設ごとのオンライン教材の活用事例紹介」が行われました。芦生研究林では、普段遠すぎて入りにくい奥山が大部分を占めます。そこで、研究林内の観察と解説を聞くことができる360度のVR動画や、それを複数人で同時に視聴できるシステムをKDDI株式会社や舞鶴工業高等専門学校の学生と共同開発したこと、そして、林内の観察コースを360度の静止画をつないでストリートビューのように見ることができるシステムを運用していることが紹介されました。北海道研究林では、学生実習での事前学習用に毎木調査の実施方法の解説動画や樹木伐採から現存量の推定に至る解説動画を作成し運用していることが紹介されました。上賀茂試験地では、野外実習を360度動画で終始撮影し事後学習や記録として活用していることなどの紹介がありました。

 最後に今後のオンライン教材の活用方法について検討が行われました。いずれの教材も現地に行かなくても視認・視聴でき悪天候やコロナ過で人が集まれない状況での運用には優れています。その上で、VR動画は、臨場感や没入感での有効性があげられ、一方で360度静止画の運用においても定点観測調査など記録として有効性が考えられます。さらに、学生実習以外でも一般公開での運用や技術の訓練などで活用できる可能性があります。こうした利点や活用法など教材の様々な面について参加者間で意見交換を行い終会しました。

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お知らせ

芦生研究林とKDDIが、生物多様性の保全に向けた包括連携協定を締結

 2023年3月9日、芦生研究林およびKDDI株式会社は、京都大学 旧演習林事務室ラウンジにて、
生物多様性の保全に向けた包括連携協定を締結しました。

 国立大学法人京都大学フィールド科学教育研究センター芦生研究林 (所在地: 京都府南丹市、林長: 石原正恵、以下 芦生研究林) とKDDI株式会社 (本社: 東京都千代田区、代表取締役社長: 髙橋 誠、以下 KDDI) は、芦生研究林の生物多様性や生態系の保全・教育・研究の促進に寄与することを目的に、包括連携協定 (以下 本協定) を締結しました。
 1990年代の後半から、芦生研究林の貴重な植生が、個体数が増えたニホンジカの採食によって著しく衰退してしまいました。植物だけではなく、昆虫や魚などの様々な生き物や、土壌、河川にも影響がでており、生態系の改変が進み危機的状況となっています。

 両者は本協定を通じて、芦生研究林の生態系や生物多様性の保全、芦生研究林に関する教育研究活動・
普及啓発活動、DXや通信技術などを用いた芦生研究林に係る活動の発展高度化に取り組みます。

■ 本協定の内容
1. 協定の名称:芦生研究林の生物多様性等の保全・教育・研究の促進に向けた包括連携協定書

2. 協定締結日:2023年3月9日

3. 協定締結の目的:芦生研究林の生物多様性や生態系の保全・教育・研究の促進のため

4. 連携事項:主に以下分野について、連携し協働します。
 ・芦生研究林の生態系や生物多様性の保全
 ・芦生研究林に関する教育研究活動、普及啓発活動
 ・DXや通信技術などを用いた芦生研究林に係る諸活動の発展高度化
 
(出席者)
KDDI株式会社関西総支社 田中 稔 社長
KDDIエンジニアリング株式会社 髙畑 謙吾 取締役執行役員
公益社団法人京都モデルフォレスト協会 廣居 恵祐 常務理事兼事務局長
京都大学フィールド科学教育研究センター芦生研究林 石原 正恵 林長

報道発表資料
京都大学芦生研究林とKDDI、生物多様性の保全に向け包括連携協定を締結PDFファイル ・ 協定書PDFファイル ・ KDDIウェブページ



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イベント

京大ウィークス2022 芦生研究林一般公開 実施報告

10月22日(土)に京大ウィークス2022の一環として芦生研究林の一般公開を実施いたしました。当日は爽やかな秋晴れのなか、25名の方が参加されました。参加者の皆様には事前にお申込みいただいた希望ルートをもとに3班にわかれていただき、1,2班は原生林体験、3班は森林軌道としました。新型コロナウイルス感染症対策のため、1班あたりの人数を制限しました。原生林体験は大カツラと長治谷の間を1,2班の出発地点をずらして見学を行いました。原生林体験のコースはガイドツアー以外では一般入林することのできない、研究林内でも特に古くからの自然が残るエリアです。森林軌道コースは灰野集落跡までの道のりを往復しました。

両コースともに芦生研究林の教員と技術職員による生物や歴史文化の解説を交えつつ案内させていただき、終始和やかな雰囲気でした。構内に戻ってからは森林VR体験と、平日のみ開館している資料館を特別開放し、両体験を通じて芦生研究林の自然や歴史への理解を深めていただきました。どの企画でも皆様熱心にご質問頂き、この一般公開を通じて芦生の森をより身近に感じていただけたのではないのでしょうか。

今回の一般公開を機に、芦生研究林の森林や、森林で行われている様々な研究について一層のご興味をお持ちいただければと思います。
また今後とも芦生研究林の運営に、ご理解ご協力をいただきますようよろしくお願いいたします。

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学生実習

森林利用学実習 実習報告

2022年9月26~28日(9月26日のみ芦生研究林、27,28日は上賀茂試験地において実施)

2022年度の森林利用学実習は、芦生研究林において2泊3日で行われる予定でしたが、新型コロナウイルス感染症対策のため日帰りに変更して実施しました。参加した学生は19名でした。実習内容は美山町森林組合の間伐現場の見学と、芦生研究林内での防鹿柵等の見学でした。

午前中は美山町内の間伐現場にて、森林プランナーや現場班長に事業や現場の解説等をしていただきました。この現場の施業面積は約20haに対して山林所有者様が十数名いることから、集約化する際に苦労したお話や、利益還元のため所有者様ごとに椪を分ける必要がある(土場が多くなる)など、森林経営計画を策定する際の課題や、現場の課題を学ぶことができました。また実際の間伐作業の見学では、地際直径で1mはあろうかという杉の大木を伐っていただきました。美山町森林組合様のご協力により、充実した現場見学になりました。

午後からは研究林内に移動し、防鹿柵の見学と、石原林長と職員による芦生研究林の植生や歴史の解説を行いました。防鹿柵の有無により植生が目に見えて違うことや、種子の供給源が近くにないと植生の回復が難しいことなどを解説しました。また木地師の集団が生活していた名残が、山に生えている木によって伺い知れることなど、広い視点で山を観察できるようにという助言がありました。

実際に森林内を見学することで初めてわかる施業現場の声や、山の様子を肌で感じられたと思います。

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学生実習

研究林実習Ⅰ 実習報告

2022年8月29日~8月31日に京都大学農学部の研究林実習Iが行われました。新型コロナウイルス感染症対策のため、1日1班(約15人)と人数を制限して日帰りで実施し、3日間で計47名の学生が参加しました。
今回の実習は下谷や幽仙谷近辺を中心に行いました。林道を歩きながら教職員が冷温帯の樹木解説を行いつつ、さく葉標本作成用サンプルを採取しました。

限られた時間の中での実習になってしまいましたが、京都市内とは異なる植生や、原生的な森林から、オンラインでは感じることができない多くの体験を得られたのではないでしょうか。

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学生実習

龍谷大学塩尻ゼミ 実習報告

7/25-26にかけて、龍谷大学農学部の化学生態学研究室のゼミ合宿が行われ、10名の学生
が参加されました。
1日目は芦生研究林の概要説明の講義の後に、芦生研究林の概要説明の後に卒業論文の中間発表会をされていました。
2日目はマイクロバスで林内に入り、原生的な森林や防鹿柵による保全研究を見学した後、異
なる植生における昆虫相の比較調査を行いました。
3つのグループに分かれ、それぞれ異なった環境で捕虫網を用いて昆虫を採取し、種類や
種数を比較しました。
学生さんには虫捕り上級者から初心者までおられ、個人の捕獲能力の差が調査結果に影響しないように、互いに交代しながら終始楽しんで調査をされておられました。
多くの昆虫を捕まえることができました。
採取した昆虫は大学に戻って分析されるということで、どのような結果になっているのかこちらも楽しみです。