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センター長挨拶_2013

京都大学フィールド科学教育研究センター長 吉岡 崇仁

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 フィールド科学教育研究センターが設置されてから10年が経ちました。今、フィールド研は新たな道を歩もうとしています。その第一歩の年に私はセンター長に就任することになりました。
 設置以来、フィールド研は、農学部と理学部に附属していた各地の施設をフィールド科学の名の下に統合し、教育と研究に関するさまざまな取り組みを行ってきました。教育では、もとの学部への貢献に加えて、多くの全学共通科目を毎年提供しています。中でも、森里海連環学(もりさとうみれんかんがく)に関する講義と実習はフィールド研の独自性を表すものとして、力を入れてきました。そして、昨年、(公益財団法人)日本財団との共同事業として、京都大学学際融合教育研究推進センターに森里海連環学教育ユニットが設置され、活動を開始しました。2013年度は、いよいよ履修生を募集して森里海連環学教育プログラムによる大学院教育が始まります。このプログラムは、地球環境学堂、農学研究科、人間・環境学研究科のご協力を得て、分野横断・学際融合の観点から森里海連環学を学び、国際的に活躍できる人材を輩出することを目的にしています。ユニットでの大学院教育は、今までフィールド研が精力的に進めてきた、全学共通教育と協力講座を通じての学部・大学院教育を基盤として、より幅の広い院生層を対象として森里海連環学を教育しようとするものです。私たちには、目の前に延びている新たな道に、森里海連環学を学び実社会で活躍できる学生・院生を導いていく責務があると考えています。
 この責務を果たすために、フィールド研は、森里海連環学に関する研究も推進してきました。その柱として、仁淀川と由良川の流域を対象とした「森里海連環学による地域循環木文化社会創出事業(略称:木文化プロジェクト)」に取り組んでいます。2013年度はその最終年度であり、プロジェクトの主要メンバーとともに、成果をとりまとめねばなりません。そして、その成果を学部・大学院の教育と研究に活かして行きたいと思います。
 京都大学では、現在、教育研究の組織改革に関して熟議が重ねられています。改革の方向性は未だ不透明ですが、学部・研究科と違い、所帯が小さく、管理する施設の数や面積が大きいフィールド研は、足もとをしっかりと固めておかねばなりません。森里海連環学がその強固な足もとになっているでしょうか。この1年は、地固めの時間として、フィールド研内での熟議も必要だと思っています。予算の削減は、既定路線かのようです。足もとを固めるどころではないかもしれません。限られた経費を最大限に活用する努力が必要となるでしょう。これまでの10年間に増して、フィールド研全教職員の皆さんの智恵と熱意に期待し、ご協力をお願いします。
 森、里、海のフィールドでの教育と研究を推進するために、できる限りのことをやっていきたいと思います。しかしながら、フィールド研単独で森里海連環学の教育・研究を展開していくことは困難でしょう。今まで同様、京都大学の各研究科や地球環境学堂、生態学研究センターはじめ関連する研究所・センター、全国の大学の臨海臨湖実験所、水産実験所、演習林といったコミュニティー、さらには隔地施設の地元の皆様からのお力添えが不可欠です。皆様のご支援、ご協力を賜りたく、よろしくお願い申し上げます。(センター長就任の挨拶 2013年4月)