ANA私の青空 広島空港「アサヒの森」

森林資源管理学分野 吉岡崇仁


 平成21年8月2日(日)、広島県庄原市にあるアサヒビール(株)のアサヒの森にて、「ANA 私の青空 広島空港アサヒの森」が開催された。梅雨明けもままならず、前日の夜にもかなりの雨が降ったが、当日はまずまずのお天気となり、小学生とその保護者約60名の参加があった。アサヒビール(株)社会環境推進部の王嘉翎さんと全日本空輸(株)CSR推進室の佐藤祐子さんによる楽しい「森の子体操」で参加者全員のウォーミングアップが済むとすぐに「青空塾」の時間になった。体操で少々息切れがしていたが、「森里海の連環」と題して講義を行った。日本が先進国のなかでも有数の森の多い国であるにもかかわらず、木材等の輸入大国であるという矛盾、野生動物の保護区を設けながら、シカなどによる植生や農産物への被害が起こり、有害駆除が行われているという矛盾などを紹介した。そして、これらの矛盾が、人間と森林との間の相互関係によるものであり、そのおおもとには、森が持つさまざまな機能を人びとがどのように認識しているかということが関わっていることを述べた。また、フィールド研の森里海連環学ではおなじみの「森は海の恋人」について、森が海に対して果たす役割を知ったとき、 漁師にとって意識の外にあった森が内なる自然として立ち現れるようになり、漁師が森に木を植える動機になったものと考えられることを解説した。小学生には難しすぎたかも知れない。おうちに帰ってからお父さんお母さんとお話ししてみて下さいと締めくくった。写真1は「アサヒの森」の中の、左側に人工林、右側に天然性林がある特徴的な谷を平成20年に撮影したものであるが、谷の左右どちらの森が好きかと参加者に尋ねてみた。天然性林に手を挙げた小学生・保護者が多かったが、人工林に手を挙げる人もいた。人工林と天然性林ではそれぞれ機能も違えば、人間の手のかけ方も違う。そのことと、自分がどちらの森が好きだと思うかということの関係を考えるきっかけになればと思う。「青空塾」のあと、木質チップを使った絵馬づくり、そして展望台まで森の散策をしたあと、親子で植林作業に汗を流して「私の青空」を終了した。

ニュースレター18号  2009年12月 ニュース