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教育活動

ポケゼミ報告2013「環境の評価」

森林情報学分野 教授 吉岡 崇仁


 平成25(2013)年度は、全学共通科目拡大科目群人文・社会科学系の少人数セミナーとして開講し、自然環境を評価することの意味について、自然科学的、社会科学的側面から解説と討論の形式で実施した。教室で7回の講義形式の授業と芦生研究林での合宿を実施した。受講生は、工学部1名、総合人間学部1名であった。
 今年度は受講生が少ないため、受講生間での意見交換、議論はほとんどできなかったが、大学院生のTAも含めて濃い議論ができたと思う。教室での議論では、環境の価値評価について、人間中心主義的観点と非人間中心主義的観点から検討したが、動物実験や環境保護に関する考え方について、自身の考え方が人間中心主義的か、非人間中心主義的かを考えさせた。また、創造力養成のために、シナリオ作成法を用いた。すなわち、受講生自らが環境保全に関してよいと思うシナリオを提案する。次に、そのシナリオをよりよいものにするために改善策を検討する。次に、最悪のシナリオを立案し、その改善策も検討した。よいシナリオを改善するために必要な方策の方向性と、最悪のシナリオを改善するための方向性とが異なることが示唆された。これに関して、演繹(順問題:原因から結果を推定する)と帰納(逆問題:結果から原因を推定する)の観点から、環境問題解決策のあり方についても考察することができた。
 芦生研究林での合宿(8月15-16日)では、シカ食害の影響が甚だしい上谷周辺を見学し、シカ排除実験を集水域レベルで行っているウツロ谷では、昨年に続いて研究代表者の京都大学農学研究科の高柳講師から調査結果の解説をいただいた。また、森林における人間活動として、過去に木地師がいたとされる林内の跡地や、炭生産を行っていた灰野地区および炭運搬等に使われていたトロッコ軌道を視察した。また、現在フィールド研が取り組んでいる間伐実験地では、間伐の影響を実地見学した(写真1)。
 レポートでは、ダムの利活用に関する新聞記事と、防潮林として活用されてきたマツの海岸林に関する環境に関する新聞等の記事がそれぞれ題材として取り上げられた。記事に含まれている「環境評価」の文脈の抽出と解説をしたうえで、自らの考えを発表し議論した(写真2)。
 昨年に続いて、急な依頼にも関わらず快くフィールド講義をしてくださった高柳氏、現地観察に同行してくださった芦生研究林の技術職員の皆さんにお礼申し上げる。