新人紹介 原村 隆司

白眉センター 特定助教 原村 隆司

 平成25年度4月より京都大学次世代研究者育成支援事業(白眉プロジェクト)の特定助教に採用され、フィールド研(瀬戸臨海実験所)に受け入れていただくことになりました。学部時代を過ごした琉球大学では動物生態に関する研究を行い、京都大学の修士・博士課程では、動物行動学研究室で海岸環境に生息する両生類の繁殖行動に関する研究を進めてきました。我々は、ふつう、両生類、特にカエルは、里山の水たまりや水田などの淡水域で生活していると思っています。しかし、種によっては、高温で乾燥している海岸環境に生息しているものもいます。私は、海岸に生息するこのカエルの調査を通して、「生き物は厳しい環境にも柔軟に適応進化するものだな」ということを感じました。また、フィールドで生き物を観察することの大事さや、試行錯誤しながら実験を行うことのおもしろさを学ぶことができたと思っています。
 両生類の中で、カエルはオタマジャクシの時には水中で生活しますが、変態し成体になると陸上で生活します。そして、カエルは、里山や水田など、我々にとって身近な自然環境に生息しているので、誰もが子供の頃見たり触ったりしてきた馴染み深い生き物の一つです。ですから、これからもカエルが我々にとって身近な生き物であるように願っていますし、また陸上と水中で生活するカエルの研究を通して海との繋がりを理解できたらなと考えています。
 白眉プロジェクトでは、外来種オオヒキガエルの新たな駆除法に関する研究を進めています。オオヒキガエルは世界中で在来種に悪影響を与え、日本でも石垣島や小笠原諸島の島々に移入され、生物多様性の破壊が危惧されている動物です。このオオヒキガエルが日本の小さな島々に定着できたのは、塩分に対する何らかの耐性があるのではないかとも思って研究を進めています。
 フィールド研は、森林、里山、海域の研究者の方々が連携して研究を進めていますので、私も、様々な研究分野の方々と情報交換させていただく中で、今後は、外来種をコントロールし生物多様性を守る研究も進めていきたいと思っています。皆さまのご指導、ご鞭撻のほど、よろしくお願いいたします。

ニュースレター30号 2013年8月 新人紹介