森里海連環学教育ユニット 向井 宏
フィールド研では2005年よりリレー講義の開講や教科書の出版等で、財団法人日本財団の支援を受けてきた。2008年からは海域陸域統合管理学研究部門を発足させ、主として全学教育の場で森里海連環学を教育し、国際シンポジウムや地域連携講座を展開してきた。その後、2012年4月から公益財団法人日本財団との共同事業として、学際融合教育研究推進センターのもとに森里海連環学教育ユニットを発足させて、大学院教育を行うこととなった。このユニットは、フィールド研を中心にして、農学研究科、人間・環境学研究科、地球環境学堂・学舎の協力で計画されたもので、森里海連環学に基づく環境問題の解決を目指し、国際的に活躍できる人材を育てることを目的としている。人材育成事業のために、森里海連環学教育プログラムを京都大学の全大学院生を対象として立ち上げ、英語による講義で教育を行う準備を始めた。本ユニットは、最高決定機関に運営協議会を置き、その下に事業推進委員会を設置している。ユニットには、特任教授1名、特定准教授3名、4部局との兼任教授を含めて8人の教員と、ポスドク研究員2名、教務補佐員1名、ユニット支援室の事務職員3名を擁して、1年後からの教育プログラムの開始に向けて準備を行ってきた。
2013年4月、どのくらいの学生が履修を希望してくれるのか不安と期待の入り交じった中で、森里海連環学教育プログラムが開始された。この教育プログラムには、ユニットの教員が担当する科目を含む3大学院の教員44名に50科目以上を提供していただき、さらに、2科目の非常勤講師による講義、そして、必修科目としての2科目を含めて、充実した教育プログラムを組むことができた。4月17日の必修科目「流域・沿岸域統合管理学」の第1日目の講義に合わせて、開講式を実施した。履修希望者は77名に上り、当初の予想していた10~20名を大幅に上回り、われわれを喜ばせると共に、開講の準備に大わらわとなった。この日の講義は、フランスからお招きしたブレスト大学のデニス・バイ博士による経済学から見た沿岸域管理についてのお話しだった。
本教育プログラムは、その後順調に事業を進め、2013年度前期を終了した。ユニットで推奨しているインターンシップについては、必修としている地球環境学舎以外の学生からもインターンに国外に出かけるものが予想を超えており、教育プログラムの目標実現が期待できる状況となっている。
教育ユニットは6年間の予定で始まり、現在までのところ、ほぼ満足できる結果を生んでいる。期間終了後の方向性については、森里海連環学教育プログラムをどのように発展させるのか、これから議論していく必要がある。
ニュースレター31号 2013年11月