森里海連環学教育プログラムの開講

森里海連環学教育ユニット 特定准教授 横山 壽

  フィールド科学教育研究センターは,公益財団法人日本財団の支援を受けて,2012年度に農学研究科,人間・環境学研究科,地球環境学堂・学舎とともに「森里海連環学教育ユニット」を設立し,参加部局の教員と教育ユニット専任教員(本年度は教授1名,准教授3名)を配置するとともに,事務運営のための「教育ユニット支援室」を設置した。本ユニットは,森,里,海におけるあらゆる学問が含まれる森里海連環学を修め,自然と共生し持続的な社会づくりに国際的に活躍する人材の育成を目的に,本年度より「森里海連環学教育プログラム」を開始した。本年度は,必修科目として,第一線で活躍する研究者によりリレー方式で森里海連環学に関する講義を行う「流域・沿岸域統合管理学」および少人数ゼミ方式でのプレゼンテーション・ディスカッションを行う「国際貢献学演習」,履修推奨科目として「インターンシップ」および「森里海特別研究」,選択科目として「森」,「里」,「海」および「総合」に関する37科目を開講した。このほか,受講生の英語能力の向上を図るための講義を行った。本教育プログラムは京都大学の全大学院生を対象としており,本年度は文学研究科1名,農学研究科29名,人間・環境学研究科9名,地球環境学舎35名,アジア・アフリカ地域研究研究科2名,公共政策大学院1名,計77名が履修した。課程別内訳は修士課程65名,博士課程12名であり,この内22名が留学生であった。教育プログラムの開講記念行事として,2013年4月17日に,記者会見,開講式およびフランス,ブレスト大学のDenis Bailly博士を迎えて記念講義を開催した。
 履修生に海外の研究教育機関,行政組織,NGOや国内の国際組織においてインターンシップを経験させるため補助金を26名に,履修生の国際学会での研究発表を奨励するため補助金を3名に支給した。また,履修留学生を支援するために奨学金を修士課程の2年間給付する体制を整え,本年度はマダガスカルからの留学生に支給した。
 教育プログラムにおける教育や実習の補助とするためだけでなく,外国での活用も目指して,森里海連環学に関する英文の教科書 “Connectivity of Hills, Humans and Oceans (CoHHO): Challenge to Improvement of Watershed and Coastal Environments”を編集,出版した。また,学内外への教育プログラム広報用のパンフレットやポスターの作成,森里海NEWS LETTER(No.1,No.2)のユニットホームページ上での発行,「2013教育ユニット活動記録」の刊行によりユニットの活動を広報した。
 修了に必要な14単位を修得した履修生26名に2014年3月24日の修了式において山下洋ユニット長より修了証を授与した。本修了式に併せて,2014年度京都大学-日本財団森里海連環学フェロー(奨学金支給留学生)授与式および森里海連環学教育プログラム同窓会設立宣言が行われた。前日の3月23日には,修了生,履修生および森里海連環学教育ユニット教職員との親睦を図るために,平成26年度以降の教育プログラム科目「森里海連環の理論と実践」における実習のフィールドとする近江八幡において,修了記念イベント「森里海連環学スタディツアー2014春in近江八幡」を行った。

年報11号