畠山重篤氏、C.W.ニコル氏 “社会連携教授”の称号授与

 2005年3月1日ならびに4月1日付で、畠山重篤氏(カキの森を慕う会代表)と作家C.W.ニコル氏に、京都大学フィールド科学教育研究センター「社会連携教授」(非常勤)の称号を授与した。

 フィールド科学教育研究センター(フィールド研)は、日本の国土の根幹をなす森と川と海の本来のつながりの再生を通じて、地球環境問題解決のブレークスルーとなり得る新しい統合学問領域「森里海連環学」の創生に向かって、多様な取り組みを進めてきた。それらの中で、自ら森と海のつながりの再生を目指した森づくりを進め、世論形成にすでに大きな力を発揮されている先人との共通認識の形成や今後の相互協力の合意を得ることとなった。
 これらの社会的連携を、さらに効果的に教育・研究・社会貢献へ結びつけるために、“森は海の恋人運動”を展開されている宮城県気仙沼の漁師畠山重篤氏(カキの森を慕う会代表)と長野県信濃町に“アファンの森”を築き、日本の美しい自然の危機と保全を訴え続けておられる作家C.W.ニコル氏を、3月1日ならびに4月1日付で、京都大学フィールド科学教育研究センター「社会連携教授」(非常勤)に就任いただいた。これにより、東北地方と中部地方に新たな教育研究拠点を持つこととなり、森里海連環学の全国展開に道を開くこととなった。
 両教授には、フィールド研の全学共通教育の講義の一部を担っていただくとともに、豊かな自然を再生しつつある室根山-大川-気仙沼湾ならびに黒姫山ろくのアファンの森を舞台に、ポケットセミナーや森里海連環学の実習を開くことを計画している。自らの考えを行動に移し、社会を動かす賢人に接すること、そしてその舞台となる豊かな自然環境に触れることは学生各々の“原体験”として、かけがえのない教育効果を持つものと期待される。さらに、研究面では森里海連環学の市民参加型研究を二つのフィールドで継続的に展開することを計画している。社会連携教授は、フィールド研が目指す新しい学問領域の開拓にとって不可欠の存在であり、学問と社会を結びつける上で大きな 役割を担っていただけるものと期待している。

(フィールド科学教育研究センター長 田中 克)

- 授与式の様子 -

畠山重篤氏 3月26日

- 授与式の様子 -

C.W.ニコル氏 4月12日