フィールド研公開講座2015・芦生研究林一般公開を開催

芦生研究林長/森林育成学分野 准教授 伊勢 武史

 2015年10月17日(土)、芦生研究林において、フィールド研公開講座および芦生研究林の一般公開を行いました。芦生研究林の一般公開は、京大ウィークス参加イベントとして今年度はじめて実施したもので、その中で、教員によるリレー講義をフィールド研の公開講座として開催しました。参加者は149 人(学外講師等4 人を含む)でした。
 リレー講義では、まず、中島 皇講師による「森と水の関係から」と題した講義、次に、吉岡 崇仁教授による講義「シカは何を語る」がありました。日ごろの研究を、市民のみなさんに分かりやすく伝えていただきました。昼食休憩時間は、講義室で研究林のスライドショーを実施しました。午後からは、まず長谷川 尚史准教授による「変わりつつある林業の姿:森林生態系の供給サービス」と題した講義がありました。次に德地 直子教授による講義「森がつくる川の水質」で、芦生研究林の水質を例に、学術研究を市民に分かりやすく伝えていただきました。続く坂野上 なお助教の「森と人の歴史」では、芦生研究林を取りまく歴史と人びとについて解説していただきました。最後は林長の伊勢 武史准教授が「森と私たちの未来」と題する講義を行い、森林生態系の未来を知るためにシミュレーションという道具を使うことの有効性について、参加者との質疑を交えながらお話しました。
 この日の一般公開は、広大な敷地を持ち、多様な生物をはぐくむ芦生研究林がどんな施設でどんな教育や研究が行われているかを市民のみなさんに知っていただくため、事務所エリアを開放する自由参加のイベントとして開催しました。施設見学とリレー講義のほか、自然観察イベントとして、教職員が引率し事務所エリア周辺の散策と植物観察を実施しました。また、アートのワークショップとして、芦生研究林を愛する絵描きさんによるスケッチ教室や、芦生研究林に自生する植物を用いた草木染め体験教室を実施しました。さらに、職員による薪割り体験やチェーンソー体験も実施し、参加者の歓声があがりました。芦生研究林は遠隔地にあるため、京大吉田キャンパスおよびJR園部駅からマイクロバスによる送迎も実施しました。

年報13号