実習報告2016「博物館実習(館園実務):舞鶴水産実験所」

舞鶴水産実験所 助教 甲斐嘉晃
舞鶴水産実験所 特定助教 田城文人

 今年度から舞鶴水産実験所において博物館実習(館園実務)を開講した.これまで,京都大学における全学共通科目の博物館実習(館園実務)は,総合博物館において行っていたが,短期集中の科目であるために時期が限られてしまい受講できない学生が多くいたこと,また理系の博物館実習に特化したものがあってもいいのではないかという判断から,舞鶴水産実験所でも開講することになった.舞鶴水産実験所には,博物館相当施設である水産生物標本館があり,これを今まで以上に有効活用すると言うねらいもある.他の博物館実習(館園実務)の開講時期とずらし,12月23日から27日という日程で館園実務を行った.なお,事前・事後学習は総合博物館の岩崎教授の指導を仰いだ.本実習は,教育関係共同利用拠点事業の公開実習とし,京都大学だけでなく他大学生の受入も行った.
 今年度の実習では,申込時では京大生2人,他大学生1人であったが,実際に参加できたのはそれぞれ1人ずつであった.23日に東舞鶴駅に集合し,当日はガイダンスや水産生物標本館の見学を行った.翌24日には京都府漁協を訪ね,そこで水揚げされる魚から標本サンプルを頂き,魚類標本の作成法や展示・解説の方法を学んだ.25日には,ほかの博物館との標本の貸し借りについて実習し,実際に海外の博物館から届いた標本を使った作業も行った.26日は天候に恵まれたため,調査船緑洋丸に乗って舞鶴湾内で海洋生物の採集を行い,それぞれの生物によった標本作製方法を学んだ.最終日には舞鶴水産実験所とも研究協力体制のある宮津エネルギー研究所(魚っ知館)を訪問し,魚類の展示方法や希少魚類の育種・保全について知識を深めた.
 今年初めての開講と言うこともあり,参加者が少なかったのは反省点である.これは,情報が十分に行き渡っていなかったのかもしれないので,今後の告知方法を工夫したいと考えている.