ILASセミナー報告2017「森林河川調査入門」

森林育成学分野 特定助教 中川 光


 ILASセミナー「森林河川調査入門:見て確かめる川の生き物達の生息場所」を8月21日〜8月23日の日程で集中授業・実習形式で京都大学芦生研究林にて開講した。今回は法学部と理学部からそれぞれ1名の学生が参加した。1日目は、由良川の河川生物を紹介する講義の後、シュノーケルの使用方法についてレクチャーを行い、実際に水中での魚類や水生昆虫の活動する様子を観察させた。夕食後にもシュノーケリングによる魚類観察を行い、昼と夜での魚類の行動の違いや夜行性の魚類の生態に関する説明を行った。2日目は、野外観察から研究データを取得する方法について理解することを目的に、野外調査における調査手法・計画とデータの取り扱いの重要性に関する講義の後に、ライントランセクト法による魚類の定量的な観察と生息環境の計測を行った。TAの補助のもとで、得られた調査結果の取りまとめと解析、考察を学生自ら行い、3日目朝にその結果の発表を行わせて、講義終了とした。本講義において、受講者らはいずれも河川での水中観察は初めてであり、網等で捕獲されたものとは違う生き物の様子に新鮮な印象を受けたようである。また、定量観察では、実際に得られたデータをもとに各魚種が好む生息場所の違いなどについて、図表に取りまとめるなどの工夫をした上で考察し、本実習の、自然科学研究における野外観察からのデータ取得の基礎を理解するという目的を十分に達成できたものと思われる。