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教職員の動静

新人紹介 三田村 啓理

海洋生物環境学分野 教授 三田村 啓理

 幼少のころ魚釣りを好み、近くの川や池、湖に度々足を運びました。水が温み始める春から山々が色づき始める秋までは魚に出会えましたが、寒風が吹くころには残念ながらすれ違いが続きました。いつでも魚と顔を合わせたい。“いつ”、“どこにいるのか”を知りたい。幼少のころの想いを胸に、京都大学農学部に入学しました。4年生では、海洋生物環境学分野においてバイオテレメトリー技術を駆使した魚の移動や分布研究に取り組みました。一つの夢がかなった瞬間でした。
 これまで主に魚類を対象として、水産資源動物の維持管理と絶滅危惧種の保全のために、対象動物が“いつ”、“どこで”、“何をしているか”に関する研究に従事してきました。特に、情報学に基づく新しい超音波情報通信バイオテレメトリーシステムの開発ならびに高度化に尽力するとともに、この新しい技術を駆使して水産資源動物の行動や生態研究に取り組んできました。具体的には、国内ではメバル、カサゴ、キジハタなどの巣穴を持つ魚の固執・回帰行動やクロマグロなどの高度回遊性魚類の群れ行動に関する研究に注力しています。また、2011年の東日本大震災によって壊滅的な被害を受けた福島県の沿岸漁場において、重要水産資源であるマアナゴ、ホシガレイ、ヒラメなどの移動生態研究にも取り組んでいます。国外においては、タイ国水産局の要請を受けて絶滅危惧種メコンオオナマズの生態研究を約20年にわたり展開してきました。メコンオオナマズはメコン川流域の固有種で、体長3m、体重300kg に達する世界最大級の淡水魚であり、重要な水産資源でもあります。タイ国水産局とともに引き続きメコンオオナマズの生態を解き明かしていこうと思います。
 昨今、海洋と河川を移動するニホンウナギやスズキ、サケ・マス類などの移動研究にも着手したところです。今後は、フィールド科学教育研究センターの一員として森里海連環学を基盤とする研究に丁寧に取り組みたいと思います。

ニュースレター51号 2020年7月