英語論文 Individual behavioral type captured by a Bayesian model comparison of cap making by sponge crabsに関する原田桂太技術職員へのインタビュー記事

2020年7月31日、英語論文 Individual behavioral type captured by a Bayesian model comparison of cap making by sponge crabs に関する第一著者 原田桂太 技術職員へのインタビュー記事が PeerJ に掲載されました。

On July 31, 2020, “Individual behavioral type captured by a Bayesian model comparison of cap making by sponge crabs – Author Interview with Keita Harada” were published online in “PeerJ”.

インタビュー記事はこちら

PeerJによる紹介
Twitter: https://twitter.com/thePeerJ/status/1290221272920739840
Facebook: https://www.facebook.com/thePeerJ/posts/2999440706845497

もとの論文の書誌データは以下の通り。

Harada, Keita; Hayashi, Naoki; Kagaya, Katsushi
(原田 桂太 瀬戸臨海実験所 技術職員、林 直輝 東京工業大学(博士後期課程)、加賀谷 勝史 東京大学 情報理工学教育研究センター 特任研究員)
Individual behavioral type captured by a Bayesian model comparison of cap making by sponge crabs
(カイカムリによる帽子作りのベイズモデル比較によって捉えられた個々の行動タイプ)
PeerJ 8:e9036 2020
Published 2020-05-14
DOI: https://doi.org/10.7717/peerj.9036

<概要>  カイカムリの「Cap making」行動で確認された「個性」 (原田 桂太 技術職員)
 
 海には多種多様な甲殻類が暮らしていますが、今回注目したのはカイカムリというカニです。このカニは海綿やホヤなどを使って、自分の体サイズに合った被り物(Cap)を作成し、それを背負うことが知られていました。またそのCapには、カニの背中の丸みに合ったくぼみも作られており、我々はこのくぼみと体サイズの関係を調べていました。
 ところがある時、体サイズにぴったり合ったものよりやや大きいCapが好きな個体や、その逆の個体がいるのではないか、すなわち個体ごとに嗜好性があるのではないかと考えました。
 これを確かめるために、サイズの異なる人工のスポンジ複数個をカイカムリに与えCapを作成させるという試行を、1個体につき複数回行いました。その上で、1.最初に選択したスポンジのサイズ、2.加工後のスポンジのサイズ、3.作成したくぼみのサイズ、4.作成にかかった時間、の4つについて、カニの体サイズと関係があるか、また個体ごとに嗜好性があるかどうかを調べました。
 個体ごとに嗜好性があるかどうかは、個体ごとの嗜好性があると仮定した階層ベイズモデルと、ないと仮定したモデルを作成し、それぞれのモデルがどれくらい予測の間違いが少ないかを評価する指標「WAIC」を計算することで比較しました。
すると、まず1、2、3はすべてカニの体サイズと関係があることがわかり、体サイズが大きいほど大きいスポンジを選び、大きいCapを作成し、大きいくぼみを作成することがわかりました。さらに、個体ごとの嗜好性があると仮定したモデルのほうがWAICの値は小さく、より予測が良いという結果になったため、カイカムリの行動には「個性」が存在すると結論づけました。
 今回の実験では、同一の個体は似たような行動を繰り返すと仮定し、これを個性と考えました。そして、個性を階層モデルに組み込む方法を提案しています。動物の個性だけでなく、階層構造を考えるほうがよいのかどうかを検討すべき他の問題にも応用できます。