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研究活動

サナダユムシの本体、88年ぶりに採集成功 -干潟の深い巣穴に住む世界最大のユムシ-

2021年8月6日に、邉見由美 フィールド科学教育研究センター助教、伊谷行 高知大学教授、塩﨑祐斗 同博士課程学生(研究当時)らの研究グループが、瀬戸内海の干潟にて2019年と2020年にヤビーポンプを用いてサナダユムシの採集に成功し、さらに、後藤龍太郎 フィールド科学教育研究センター助教が採集標本を吟味し、体色の変異や繁殖様式について新たな知見を得た研究成果が、国際学術誌「Plankton & Benthos Research」に掲載されました。

【DOI】https://doi.org/10.3800/pbr.16.155

Ryutaro Goto, Yumi Henmi, Yuto Shiozaki, Gyo Itani (2021). Giant spoon worms pumped out of their deep burrows: First collection of the main bodies of Ikeda taenioides (Annelida: Thalassematidae: Bonelliinae) in 88 years. Plankton and Benthos Research, 16(3), 155-164.

<概要>
 サナダユムシ Ikeda taenioidesは世界最大種のユムシで、2m以上にもなるテープ状の極めて長い口吻と65cm以上にもなる体幹部(本体)を持ちます。日本固有種で、干潟の砂泥に深い縦穴を掘ってその中に生息します。採餌のために巣穴の中から海底表面に長く伸ばした口吻は時々観察されるにも関わらず、本体は常に深い巣孔の奥深くに留まるため採集するのは極めて困難です。少なくない海洋生物学者が本体の採集を試み、挫折してきました。これまでの体幹部の採集例は、池田岩治博士らが1901年に苦労して採集した神奈川県三崎産8個体と、1934年に佐藤隼夫博士が論文で図表に載せた1931年尾道産の1個体に限られます。

 今回、邉見由美 フィールド科学教育研究センター助教、伊谷行 高知大学教授、塩﨑祐斗 同博士課程学生(研究当時)らの研究グループは、瀬戸内海の干潟にて2019年と2020年にヤビーポンプを用いてサナダユムシの採集に成功しました。本体の採集成功は88年ぶりになります。さらに、後藤龍太郎 フィールド科学教育研究センター助教によって採集標本が吟味され、体色の変異や繁殖様式について新たな知見が得られました。本研究成果は、謎に満ちた本種の生態解明の足がかりとなることが期待されます。
(参考)
京都大学ウェブページ (2021年8月6日)