実習報告2021 ILASセミナー 「北海道の昆虫相」

実習報告2021   ILASセミナー 「北海道の昆虫相」

森林情報学分野 准教授 小林 和也


 本セミナーは、北海道研究林標茶区(川上郡標茶町)を中心に、北海道の森林生態系における昆虫相とその成立要因について調査・研究手法を学ぶことを目的とした実習形式の講義である。当初は8月10日から14日にかけて行う予定であったが、昨年度に引き続き新型コロナウイルス感染症の流行に伴い、オンライン講義で代替することとなった。履修生は当初8人を予定していたが、実習のオンライン化に伴って5人の学生が履修の取り消しを希望し、最終的に理学部2人、農学部1人が履修した。
 実習に先駆けて京大生を対象にオンライン講義形式でガイダンスを行い、実習のねらい、昆虫相の概要、北海道研究林の気候や地理要因について解説し、ピットホールトラップと簡易式ライトトラップを紹介した。これらの情報を元に、昆虫相に影響を与える要因について履修生に思いつく限り挙げてもらい、それらの要因が実際に影響を及ぼしているか検証するための各トラップの設置条件を検討してもらった。その結果、針葉樹人工林の間伐前後と広葉樹天然林の3地点にトラップを設置し、採集される昆虫相の違いを比較することとなった。
 履修生が北海道研究林を訪れることがかなわなかったため、予定していた作業は教職員で実施し、作業風景、調査結果などを撮影した。北海道研究林標茶区のアカエゾマツ人工林においてチェーンソーを用いた間伐作業を行い、前後で林床の明るさを比較したのち、5年前に間伐を行った林分と間伐を行ったばかりの林分において、下層植生調査とピットホールトラップおよび簡易式ライトトラップの設置を行った。翌日、仕掛けたトラップを回収し、捕獲された昆虫をピットホールは科レベルで、ライトトラップは目レベルで仕分け、エクセルにまとめて各林分における昆虫相の定量データとした。得られたデータ及び作業風景等の動画をパワーポイントにまとめ、Zoomを用いて作業手順やデータのまとめ方、解析方法などを解説する様子を録画し、これらの動画をつなぎ合わせたものを学生に提供した。各学生には動画を視聴したうえで、エクセルのデータを用いて結果を解析し、何故そのような結果が得られたのかを推測し、それを検証するような実験手法をレポートとして纏め、提出するよう指示した。
 2020年度に続いてオンライン講義となり、提供する側としてコンテンツの充実、ノウハウの蓄積が進んでいるものの、やはり現場で直接体験した森や昆虫の様子以上の情報を伝えられたとは思えない。早期に対面で実習が再開できるよう祈るばかりである。