新人紹介 松岡 俊将

森林情報学分野 松岡 俊将 助教

 2022年4月1日に芦生研究林の助教に着任しました。これまでの研究では、フィールド調査、(環境)DNA解析、統計モデリングを組み合わせることで、森林の菌類を中心とする生物多様性パターンとその創出・維持要因の解明に取り組んで来ました。
 芦生研究林に初めて訪れたのは学部4回生の時で、指導教員の菌類調査の手伝いとして連れて来てもらいました。林床植生が無いため、きのこが見つけやすく、嬉しいやら悲しいやら複雑な気持ちになったことを覚えています。大学院では、樹木の共生菌である外生菌根菌の多様性パターン研究というテーマを掲げ、芦生研究林、北海道研究林、紀伊大島実験所などフィールド研施設を含む、全国の様々な森林で調査ときのこ狩りを行いました。学位取得後は、陸水域にフィールドを移し、環境DNA 分析技術と多様性研究を繋ぐ研究を行いました。森林河川中からは、土壌や樹木体内に存在する菌類のDNA が多数検出され、目に見えない森と川の繋がりを感じました。
 私が大学院生・ポスドクとして研究を行ってきたこの10年の間に、環境DNA を始めとする生物多様性観測技術やデータ解析技術は急速に発展し、またデータの公開や共有に対する考え方や状況も大きく変わりつつあると感じています。こうした新しい視点を踏まえて、フィールドや積み重ねてきて頂いたデータを見つめ直すことで、研究林のユニークさや面白さをもっと見つけて発信していけるのではないかとワクワクしています。
 フィールド研では、このようなフィールドを見つめる多様な視点を意識しつつ、人との繋がりを大切にして教育・研究活動に取り組んでいきたいと思います。よろしくお願いいたします。

ニュースレター57号 2022年6月 新人紹介