2023年11月16日に、鹿児島県水産技術開発センターで開催された全国水産試験場長会全国大会において、農学研究科応用生物科学専攻海洋生物環境学分野 博士２年の舩越裕紀さんが、令和5年度全国水産試験場長会会長賞を受賞しました。
「汽水湖(久美浜湾)における貧酸素水塊の解消過程－冬季の鉛直混合を阻害する淡水流入－」
〇舩越 裕紀, 田中 雅幸, 小林 志保, 藤原 建紀
水環境学会誌 2023 年 46 巻 6 号 p. 173-180
DOI: 10.2965/jswe.46.173
（研究紹介）
汽水湖である久美浜湾では，冬季に貧酸素水塊が二枚貝養殖に被害を及ぼす。その仕組みを明らかにするため，水温，塩分，溶存酸素濃度の分布の季節変動を調べた。本州中部日本海側では冬季に降水量が多く，降雨や数日で融ける降雪がただちに淡水として海域に流入するため，久美浜湾では冬季にも密度成層が維持され，鉛直混合が阻害されていた。その結果，夏季に底層で発生した貧酸素水塊が冬季にまで残存した。冬季に湾口から流入した湾外水が，それまで底層にあった貧酸素水塊を持ち上げ，中層貧酸素水塊となり，養殖漁場へと到達することが明らかになった。
（参考）会長賞受賞研究業績：http://www.fishexp.hro.or.jp/cont/jochokai/award/index.html