ポケゼミ報告2010「瀬戸内に見る森里海連環」

森林環境情報学分野 中島 皇 講師


 メンバーの顔合わせ、ポケゼミの動機付け(森里海連環や瀬戸内の予備知識、JR徳山駅までのアクセス方法や瀬戸内地域についてのレポートのヒント)のセミナーを5月、6月に1回ずつ北部キャンパスで行い、8月7日~10日に徳山試験地で合宿形式ゼミ(3泊4日)を行った。参加者は定員の7名(全て男子)、学部別では理1、薬1、工4、農1となった。フレッシュな新入生諸君が瀬戸内の恵まれたフィールド(環境:森・里・海)に出て、自ら体験し、自然と人間の関わり方、里の意味を考えることがこのセミナーの目的である。昨年同様、特任教授の向井宏先生にご協力を頂いた。
 今年は昨年と違ってキャンセルもなく7名全員が参加するので、小出和彰君(森林情報学研究室M1)にTAを頼み、徳山へは前日入りして受け入れの準備をした。集中ゼミは、8/7(土)15:30にJR徳山駅集合で始まった。街の見晴らしの良い屋上から試験地の森を眺めながら説明を行った。試験地に到着後、4日間のねぐらを確認。「さてどうなるか?」一番不安だったのは私かもしれない。早速何名かを連れて街のスーパーへ夕食を買いに出た。他は明日の夕食(カレー)準備を始めた。買い出し組は小出君の指導でボリュームのある弁当、惣菜や冷奴を手に入れた。夕食後は、瀬戸内に関するレポート発表会第1部を行った。
 8/8(日)快晴。暑そう。日曜ではあるが、試験地の技術職員は実習サポートのため出勤してくれた。昨年同様に万葉の森(周南西緑地公園:旧徳山試験地)の見学と大賀ハスを観賞した。末武川を下るコースは最源流部の烏帽子岳(697m)近くの赤松ヶ平展望台からスタートした。瀬戸内海、四国、九州が見渡せる絶好の場所である。山頂から少し下った魚切ノ滝のしぶきやスギやヒノキ林の涼しさに触れながら、人の暮らした跡が感じられるようになって暫くすると緑の鮮やかな水田風景が目に飛び込んでくる。八代盆地だ。冬にはナベツルが渡来するのどかな田園地帯である。山里の川辺で昼食をとり、川に入ってはしゃぐ者、昼寝をする者。中流部での2つのダム見学は川の流れを分断することの意味を考えるきっかけに。夜は昨日仕込んだカレーがあると思っていたが、一つの鍋が暑さで悪くなっていた。急遽、もう一つの鍋を増量することで事無きを得た。夕食後は瀬戸内に関するレポート発表会第2部。今年の参加者のレポートは瀬戸内国際芸術祭、小豆島のダム問題など、なかなかよく調べられており、お互いの発表に質問や意見が出ていた。
 8/9(月)も快晴。ヒノキの人工林(ふるさと文化財の森(檜皮))と常緑広葉樹天然林を巡る試験地見学から始まった。末武川下りはお昼に昨日の終点に近い花岡八幡宮からスタートした。旧山陽道が門前を通る歴史ある神社である。河口部では予定通り潮は引き始めており、向井先生の指導・解説で川と海との境界部で水に触れ、多くの生き物がいることを実感した。引き続き大島干潟造成事業地に近い磯で、海に入って生物を観察した。この頃から雲行きが怪しくなって来た。買い出し隊はバーベキューの食材を買いに行き、本隊は先に試験地に帰って準備をした。炭に火がつき焼き始める頃から強烈な夕立。テントを準備していたが、役に立たない様相であった。それでも皆沢山食べて、肉だけでなくサザエやチヌの塩焼きにも舌鼓を打ったようである。夜には雨も上がって、シャワーの順番待ちの間には、玄関前で涼みながら星を眺めた。日中とは一転した暗さと静けさに感動したようである。
 8/10(木)はレポートと感想文を完成させ、後片付けをして、昼食後にJR徳山駅で解散となった。
 昨年度復活させた徳山試験地でのポケゼミが定員7名の参加者で実施できたことを感謝したい。当初の不安も皆さんの協力で何とか無事乗り切ることができた。今後は参加者に女子が入った場合の対応などが課題として残されている。次年度も施設・設備を改善しながら継続していきたい。