森林育成学分野 鈴木 華実 助教
2024年10月1日に、森林育成学分野 芦生研究林常駐の助教に着任しました。名古屋大学の出身で、研究フィールドも愛知県内やその周辺に構えていたため、京都大学の構成員になるのも、芦生研究林に足を踏み入れるのも初めてという立ち位置からスタートを切りました。
研究分野は森林生態学で、フィールドワークでデータ収集する野外調査を中心とした研究を行ってきました。卒業論文研究を始める前年に、愛知県内でスズタケというササの一斉開花・結実・枯死が120年ぶりに発生したことを好機に、ササの更新とその過程で影響を与え、逆に影響を受ける動物(野ネズミ、シカ、ノウサギ、節足動物、etc.)や環境因子を明らかにする研究を実施してきました。
現在の芦生研究林内のササは、シカによる過採食でほとんどが消失しており、矮小化した個体がわずかに残存する他は、シカの採食から免れる林道沿いの崖の上などに部分的に生育する程度になっています。本来、林床に繁茂するササは、小型動物の生息地になる一方で、樹木の実生更新の阻害要因となるなど、森林生態系において重要な存在です。芦生研究林では、ササの再生課題も含め、研究を行っていく予定です。
学部生の頃、京大フィールド研北海道研究林の公開森林実習に参加した経験が、その後の研究活動にも活かされています。研究林での教育活動の際にもこの背景を活かし、森林生態学の分野に興味関心をもってもらえるように取り組んでいきたいと思います。
ニュースレター65号 2025年02月