21回目を迎えた芦生公開講座を終えて

里山資源保全学分野 柴田 昌三


 芦生公開講座が2011年7月22~24日に開催された。10年を一つの区切りとして考えるならば三期目に入った今回は、これを機に、新たなメインテーマを考えようということになったが、そのテーマを考えている矢先に東日本大震災が起こった。そして、震災直後に東北の方々がいかに森林の資源に依存したかを知り、その重要性を認識することとなった。
 このことをヒントにして、公開講座の当面のメインテーマを「今、森から考える」とすることにし、今年のサブテーマは「森のめぐみ」とすることにした。私たちが森から与えられているめぐみは多種多様である。その中から、今回選んだ「めぐみ」のキーワードは、「川」、「癒し」、「バイオエネルギー」、「茅葺き」であった。そして講師の方々として、「川」にはフィールド研研究員の福島慶太郎氏と地球環境学舎博士課程の境優氏に、「癒し」には今西二郎京都府立医大名誉教授(現明治国際医療大学教授)に、「バイオマスエネルギー」には坂志郎京大エネルギー科学研究科教授に、「茅葺き」には深町加津枝京大地球環境学堂准教授に、それぞれ講師をお願いした。いずれの講義も非常に示唆に富んだものであり、受講生の方々も多くのインパクトを受けていただけた様子であった。
 二日目の研究林内見学では、今年は新たに健脚者向けに櫃倉谷コースを用意したが、これが大人気であった。参加希望者が多すぎたことから、来年度以降、このコースの継続や希望者の絞り込みが課題となりそうである。
 また、三日目には深町准教授の講義のあと、国の重要伝統的建造物群保存地区として選定されている美山町北地区に移動して、茅葺きの里を見学し、中野文平氏(前南丹市文化財保護審議員)の講話をいただいた。この企画も受講者からは大変好評であった。以上のように、今回の公開講座は、いつもにも増して盛りだくさんの内容で、稔りの多いものとなったと自負している。

ニュースレター24号 2011年9月 社会連携ノート