台風12号による和歌山研究林被害状況

2011年9月2~4日、台風12号による豪雨のため、和歌山研究林の林道・土場・機器等に甚大な被害を受けました。

和歌山研究林長 徳地 直子


 台風12 号は、2011年9 月3 日10 時前に高知県東部に上陸し、四国地方、中国地方を縦断して日本海へ北上し、5 日15 時に温帯低気圧に変わった。この台風により西日本から北日本にかけ、広い範囲で記録的な大雨となった。静岡大学の牛山准教授によると,特に72時間降水量については、AMeDAS全地点・全記録の上位10位記録のほとんどが本事例のものになる可能性があるという。時間降水量については極端に大きくはなかったが、長時間降水量、特に72時間降水量が広範囲で極めて大きな値が記録された事が特徴ということである。紀伊半島のほぼ中央部に位置する和歌山研究林でも9月2-4日にかけての総降水量は867mmに達し、これまでにない大規模な被害を及ぼした。特に、3-4日にかけた一晩には約600mmという多量の降水をもたらした。

和歌山研究林では降水量はこれまで30年間の記録では年間2650mm程度であるので(和歌山研究林ページ参照)、この一晩の降水量はほぼ3カ月に相当する。この多量の降水は研究林内を通る有田川の支流上湯川川の水位をあげ、林内で生じた土砂を川に運んだ。橋桁やカーブの部分で土砂が堆積し、流れが悪くなると水は林道にあふれ、林道を流れた。和歌山研究林は地形が急峻で道路の敷設には非常に苦労しており、林内の幹線道路はほぼこの上湯川川に沿って設置されているため、今回の台風による降水は川を埋め、道路を流れ、削った。土場では下部がえぐられ崩壊を生じ、作業のため土場にあったショベルカーは崖下に転落した。

 被害があまりに大きく自力での復旧作業は非常に困難です。大きな災害は当研究林ばかりではなく、教育研究をめぐる状況も厳しい中、大変心苦しいですが、復旧のためのご支援をお願い申し上げます。

(参考)
和歌山研究林への道路の通行止めと仮事務所について

ニュースレター26号 2012年3月  ニュース 掲載