海域ステーション舞鶴水産実験所

沿岸資源管理学分野 益田 玲爾


概要
 本実験所は、京都市から約100km北に離れた舞鶴市の中央部に、舞鶴湾に面して位置する。2万平米の敷地内に、魚類標本30万点を収蔵する水産生物標本館、院生・研究員用教育研究棟、水生生物飼育棟、実習生・長期滞在者用宿泊棟、機器工作棟などがある。フィールドでの調査研究と臨海実習に、実習調査船緑洋丸(18t、定員30名)と白浪丸(4.4t、定員7名)が利用できる。

研究
 1)過去60年にわたって継承されてきた水産生物の標本を利用し、また最新の分子遺伝学的手法を駆使して、魚類の系統分類学的研究を行っている。
 2)若狭湾をフィールドとして、仔稚魚や底生無脊椎動物の生態を調査し、これらの生物の動態の理解や生息環境の保全に役立てている。
 3)魚類の仔稚魚を飼育し、形態や生理、行動の発達等の観察を行っている。
 4)京都府最大の河川である由良川をフィールドに、流域の植生が水質や河川生物に与える影響を調査し、森と海のつながりを科学的に立証することを目指す森里海連環学を進めている。

教育
 現在、8名の大学院生が舞鶴水産実験所に在籍して、上記の研究に関わるテーマに各自が取り組んでいる。また本学の農学・理学・情報学研究科、さらには他大学の大学院生も、研究フィールドとして活用している。

 夏季には、本学や他大学の学部生に臨海実習を提供するほか、最近では京都教育大附属高校、西舞鶴高校、姫路飾西高校等、近畿圏の高校生の臨海実習拠点としても頻繁に利用されている。

啓蒙活動
 総合学習の一環として本実験所を訪れる小学生や、一般市民による見学会には、教職員が随時対応している。府下の小中学・高等学校・高専等への出張講義や、市民向けの公開講演会「舞鶴湾水中散歩」等は大変好評である。

ニュースレター8号 2006年8月