瀬戸臨海実験所での公開臨海実習について

瀬戸臨海実験所 朝倉 彰


 当実験所では、8月に「発展海洋生物学」、「自由課題研究」、3月に「海産無脊椎動物分子系統学」、「藻類の系統と進化」、「海産無脊椎動物多様性実習」と題した実習を行うことになっており、終了した8月分をここに報告する。なお当実験所は平成23年度より「黒潮海域における海洋生物の自然史科学に関するフィールド教育共同利用拠点」として文部科学省から認定された。本事業は全国の大学に施設を開放し、海洋生物の自然史科学に関わる人材を育成することで、高等教育の充実に貢献することを目的としている。この事業を通じて、公開臨海実習のよりいっそうの充実をはかっている。指導体制としては、教員5名(朝倉・久保田・宮崎・大和・中野)に加え今年度から上記拠点化に伴い、PD 研究員2名(岡西政典・河村真理子)を加えた形で行っている。
 「発展海洋生物学」実習は、8月4~10日に2年生以上の学部生を対象として、海洋生物学の基礎を学ぶことを目的とし行った。潮間帯の生物、潮下帯のマクロベントス、浅海域のプランクトン、砂中のメイオベントスなどを採集し、研究室で観察・分類を行い、光学顕微鏡等を用いた詳細な形態観察を行った。また附属白浜水族館で、白浜周辺の様々な動物門に属する生物を観察した。東京農工大学、愛媛大学から参加があった。
 8月27日~9月3日には、自由課題研究を行った。これは、海洋生物を材料として分類、生態に関する内容から学生に自由に研究テーマを決めさせ、遂行させ結果をまとめることまで、一通りの研究の流れを学習することを目的としている。今回は岩礁に生息するカサガイ類の行動パターンを25時間観察で、調べた。東邦大学から参加があった。

ニュースレター28号 2012年10月 教育ノート