小林 和也


フィールド科学教育研究センター森林生態系部門
森林情報学分野 准教授
北海道研究林長
E-mail:kobayashi.kazuya.3w*kyoto-u.ac.jp(*を@に変えてください)
業績など(教育研究活動DB)

1. 研究分野
 専門は進化生態学です。遺伝子実験、フィールドでの採集・飼育実験、コンピュータシミュレーション・数値解析などを用いて、様々な生物の生態を調べつつ、それらが何故進化できたのかを考察してきました。これまでは所属していた研究室の影響もあって主に昆虫を対象とした研究を行ってきましたが、今後は植物や昆虫以外の動物に加え、それらの相互作用や総体としての生物群集・生態系も対象としていきたいと思っています。これまでの主な研究内容を以下に示します。

(1)社会性昆虫に見られる特異な繁殖生態の解明
 ミツバチやアリ、シロアリのように多数の血縁関係にある個体が巣を共有し協力して生活している昆虫を社会性昆虫と呼びます。これらの昆虫では、巣の構成員の大部分を占める働きアリは自分では繁殖せず、もっぱら女王(シロアリでは王も存在)の繁殖を手助けしています。この現象は繁殖分業と呼ばれ、ダーウィンが進化論を発表した当初から、これらの昆虫でなぜ自分で子を産まないという性質が進化できたのかは長らく謎でした。この謎は、1964年にW.D.ハミルトンが血縁選択という概念を提案したことで、ある程度の決着がつきましたが、依然として様々な謎が残されており、論争の絶えない研究テーマでもあります。
 巣内の繁殖分業に加え、種類によっては遺伝的に働きアリになるか女王になるかが決まっていたり、オスが母親の遺伝子を持たず父親の遺伝子しか受け継いでいなかったりと多様な繁殖様式が知られています。これらの特異な繁殖様式の発見・記載とその進化史の解明を目指して研究を行っています。

(2)有性生殖と性投資比の進化
 多くの生物ではオスとメスはほぼ同じ数ずつ生まれます。一般にオスは次世代の子供の数には一切貢献しません。増殖効率という点で考えると、そのようなオスへの投資を減らしてメスを増やした方が良いはずです。なぜメスを沢山作るという性質が進化しないのでしょうか? 寄生蜂の仲間など、ごく少数しかオスを作らない生物も知られており、どのような条件がオスを減らすという性質を進化させたのでしょうか?
 また、オスが全く見つからずメスが未交尾のままメスを産む生物が知られていますが、このような有性生殖行わない生物は少数派です。オスを産まない分だけ増殖率が高いはずなのに、なぜ多くの動植物ではオスを維持し、有性生殖を行っているのでしょうか?
 これらの謎に対して、実際の生物を見ながら新しいアイデアを探し、理論に起こして実験的に検証していくというスタイルで研究を進めています。

2. 好きなもの、趣味
 バードウォッチング、釣り、カメラ、映画、シミュレーションなどなど

3. その他
  最新情報などは私の個人ページをご覧ください。http://kobakaz.web.fc2.com/
 私の出身ラボの日常が描かれたWeb漫画「アニメコルな人々」もよろしくお願いします。


(フィールド研における経歴とページ履歴)
2017-02-01 森林生態系部門 森林情報学分野 講師
2017-09-07 ページに教育研究活動DBへのリンクを追加
2021-04-01 北海道研究林長
2021-10-01 森林生態系部門 森林情報学分野 准教授に昇任
2024-03-05 教育研究活動DBへのリンクを修正