千徳明日香氏が若手優秀発表賞を受賞

2014年11月29日、高知城ホールで開催された日本サンゴ礁学会第17回大会にて、千徳明日香氏(瀬戸臨海実験所、日本学術振興会特別研究員(PD))が、若手優秀発表賞を受賞しました。

「X線CT画像の3次元モデルによる造礁性サンゴ Turbinaria peltataの群体形成様式」
○千徳 明日香(京大・学振PD)・石橋 正嗣・升本 眞二・大野 理恵(大市大院・理)・富山 隆將・町山 栄章(JAMSTEC)・多田井 修(マリン・ワーク・ジャパン)・江﨑 洋一(大市大院・理)

(研究内容の紹介)
 本研究では,造礁性キサンゴ科サンゴTurbinaria peltata の群体形成様式を詳細に観察しました.T. peltataでは,個体間に共骨が発達するため,群体表面から骨格の内部構造を把握することが困難です.そこで我々は,X線CT装置を用い,成長段階が異なる3群体の骨格内部構造の連続的な断面画像を測定しました.その後,独自に開発したプログラムを用い,断面画像から共骨部を除去し,分岐状の3次元モデルを構築しました.
 3次元モデルおよび断面画像から,造礁性の当該キサンゴ科サンゴでも属を超えた「出芽の規則性」が認められました.つまり,キサンゴ科サンゴでは,造礁性と非造礁性に関係なく,同じ出芽の規則性に拘束されています.しかし,それぞれの生息環境条件の微妙な変化に即応し,出芽の頻度や個体間の集合様式を変えることによって,多様な群体形態を形成していることになります.
 本研究成果は,従来あまり注目されてこなかった,群体内での個体の挙動を,X線CT装置を用いて詳細に観察し,さらに共骨の除去を独自のプログラムの開発を通じて行っています.今後もこのような知見を地道に積み上げて,少しでも基礎研究の発展に貢献できるよう努力していきたいと思います.