新人紹介 東 若菜

森林育成学分野 特定助教 東 若菜

 2016年8月に森林育成学分野に特定助教として着任し、普段は京都大学構内にいます。2016年3月に神戸大学農学研究科で博士号を取得し、研究者としても教育者としてもまだまだ若輩者ではありますが、研究活動の継続とともに、10月からは、実習や森林育成学および森林育成学特論の講義の一部を担当させていただく予定です。
 これまでの研究メインテーマは、高木の生理生態学的研究です。樹木の大きな特徴に、陸上生態系内において最大かつ長寿であることが挙げられます。しかし、樹高の限界を決める要因は何か?といった古くからの問いに対する議論は未だにつきません。そこで私は、特に樹高成長が旺盛な針葉樹において、樹高成長に関わる生理学的メカニズムの解明に取り組んできました。既往研究では樹高成長の制限要因に重点がおかれることが多いなかで、樹木による適応的な生理特性に着目することで、新しい樹高成長のメカニズムをひも解くきっかけとなりました。現在は針葉樹における調査を継続しながら、広葉樹の高木種においても、樹高限界に対する樹木の適応的戦略について取り組んでいます。また、長寿という樹木のもう一つの大きな特徴に対して、樹木の生理特性に対する樹齢の効果についても興味を持って研究を進めています。
 また、私の調査スタイルの特徴の一つは、ロープや専用の器具を用いた木登り調査です。木登り技術によって、地上から見上げるだけでは分からない樹冠の生態系や環境に触れることができます。高木や高齢木の研究は、対象が大きいだけに未解明な知見が多く残されています。いろんな方々と関わりながら、コツコツとチャレンジを積み重ねていきたいです。

ニュースレター40号 2016年10月 新人紹介