j.Pod 京都大学フレーム工法

 小林正美 地球環境学堂教授らが民間企業と共に開発した「j.Pod工法」とは、薄い板と金属プレートで製作されたロの字型のリブフレーム(木枠)を等間隔に並べ、連結して建物を構築する工法である。間伐材など地域の木材を活用し、地域の製材所や工務店で構造体を産地生産することができ、また短時間で現場施工できる建方システムであるが、モノコック構造であるため耐震性能が高い。新たな木造建築の提案を募った日本建築学会主催の設計競技(2003年度)に入選した案をベースとして、本設計競技に参加した産学の研究者・技術者により共同開発組織を編成し、2004年に「リブフレーム構造体の建設方法及びそのリブフレーム構造体」として特許を取得し、登録商標「j.Pod」を取得した。
 「森里海連環学」の構築と実践を目指すフィールド研では、和歌山研究林の間伐材などを提供し、京都大学の総長裁量経費の支援を受けるなどしながら、地域の木材資源を有効利用し、森の再生と都市の再生を実現させるこの工法の技術確立にむけた取り組みに全面的に協力してきた。その結果、j.Pod工法及びそれを進化させた「京都大学フレーム工法」による建物が、京都大学内にこれまで6棟建設された。

j.Pod 実証実験棟(吉田キャンパス北部構内・北白川試験地) 2005年
フィールド研和歌山研究林 教育研究棟 (和歌山県有田川町) 2005年
国際交流セミナーハウス(吉田キャンパス本部構内・国際交流センター横) 2006年
白浜海の家 (フィールド研瀬戸臨海実験所(和歌山県白浜町)) 2008年
フィールド研連携研究推進棟(吉田キャンパス北部構内・北白川試験地) 2009年
理学研究科セミナーハウス 2010年 (吉田キャンパス北部構内・理学部4号館西)
 (白浜海の家まではj.Pod工法、連携研究推進棟以降は京都大学フレーム工法による。)

 その後、民間の建設会社・設計事務所等によってj.Podエンジニアリングが2007年に、j.Pod&耐震工法協会が2008年に設立され、技術の普及を進めている。

参考
地球環境学堂 小林研究室
“森と都市が対話する”j.Pod建築モデル施設の記者発表(フィールド研 2005年)
和歌山研究林における“森と都市が対話する”j.Pod建築モデル教育研究棟竣工披露式(フィールド研 2005年)
和歌山研究林の間伐材で京都大学「白浜海の家」を新装(フィールド研 2008年)
連携研究推進棟および海域陸域統合管理学研究部門発足披露式(フィールド研 2009年)
ポケゼミ報告2010「木造校舎を造る:木の文化再生へ」(フィールド研 2010年度)
森と都市の対話 j.Pod system(現産官学連携本部)
白浜海の家 (学務部 利用案内)
理学研究科セミナーハウス竣工について
理学研究科 セミナーハウス使用について (2021-04-06 追記)
j.Pod&耐震工法協会
【京都大学SDGsマップ】本部ルートPart 7(国際交流セミナーハウス) 小林広英教授 2021-04-01 公開 (2021-04-06 追記)