新任教授紹介 柴田昌三

里域生態系部門里山資源保全学分野 柴田 昌三


 2007年2月1日付けをもって里域生態系部門里山資源保全学分野の教授に着任しました。これまでは、京都大学の助教授として、地球環境学堂を本務地にし、フィールド科学教育研究センターにはダブルアポイントメントという立場から協力をしてきました。
 私はタケ・ササ類の造園的利用が最初の研究テーマでしたが、その後、緑化に関する研究、タケ類の生態学的研究、荒廃した里山の再生に関する研究などを行ってきました。地球環境学堂では、里山の資源としての利用を、日本のみならず、海外の状況も踏まえて考えました。タケ類の生態的研究に関しては、開花に注目した研究を行っています。
 国内における里山に関する研究の中では、特に竹林の拡大に注目した研究を継続して行っていますが、それらから得られた知見は、京都府下や大阪府下の各地で対策に応用されています。竹林を資源として捉え直すことを目的とした NPO 活動にも参加しています。
 現在、国連のミレニアムアセスメントにも見えるように、里山は資源の供給源としてのみならず、生物多様性を維持する上でも重要な存在であるという捉え方が、世界に浸透しつつあります。フィールド研が標榜する森里海連環学の中でも里山に対する同様の評価ができると考えています。今後は、森里海連環学における里山も含めた里の位置づけを明確にできるような研究を行い、人間の営為によって形成される里山という独特の生態系の理解を深め、人間との新たな共存の方法を探りながら、森里海連環学発展の一翼を担っていきたいと考えています。よろしくお願い申し上げます。

ニュースレター11号 2007年7月 新人紹介