畠山重篤さんと東日本大震災

畠山重篤さんと東日本大震災

京都大学名誉教授・第3代センター長 柴田 昌三

 2011年4月、東日本大震災直後に私はフィールド研センター長に着任した。5月には、京都大学で最も現地とつながりがある部局の一つとして、当時の松本紘総長から東北を支援する活動を中心的に行うようにとの指名を受けた。フィールド研の設立以来、学部生の実習の場として畠山さんの牡蠣の養殖場でお世話になっていたためである。

 京都大学の学生を連れての東北復興支援ボランティア派遣は2011年8月に実現した。私は2012年3月の派遣に引率者として参加した。チャーターしたバスで片道11時間、放射能被害も懸念しながらの活動であった。フィールド研からは技術職員にも支援をいただき、畠山さんの養殖筏用の木材を山から伐り出し、学生たちがそれを運んだ。また畠山さんのご厚意で牡蠣の種付けもさせていただいた。宿の確保すら大変であったが、現地では逆に畠山さんからおいしい海の幸をごちそうになるなど、こちらが恐縮するようなもてなしを受けた。この交流を通じて私自身は畠山さんと懇意になり、以後、長い付き合いをさせていただけた。いつも私の顔を見つけると握手をしに近寄ってきてくださった畠山さんの笑顔は、決して忘れることはない。今は感謝しかない。心からご冥福を祈りたい。

(第2回 京都大学東北復興支援学生ボランティア)

(参考) 京都大学東北復興支援学生ボランティア 活動の記録・第1回ボランティア(2011年8月26~30日) 記録写真・第2回ボランティア(2012年3月19~23日) 記録写真

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