ILASセミナー報告2017「北海道の森林」

森林環境情報学分野 准教授 舘野 隆之輔

 北海道研究林を使った少人数向けのILASセミナー「北海道の森林」を8月5日から8日にかけての3泊4日で行ったので報告する。ポケゼミからILASセミナーへと名称が変更して2回目の開講で、ポケゼミから数えて今年で6回目の開講である。10名の募集に対して、参加学生は、法学部1名、理学部2名、医学部1名、工学部2名、農学部2名の計8名であった(2名は登録辞退)。今年度も受講者は抽選があったようであるが、2名が登録辞退した。
 また昨年度から北海道研究林の教育関係共同利用拠点の採択に伴い公開森林実習2を開講することになり本セミナーと同時開講し、東京医科歯科大学、京都府立大学、鳥取環境大学からの参加者3名を加えて学生11名で実習を行った。担当教員2名に加えて、北海道研究林職員9名とTAの修士学生1名で指導を行った。
 本セミナーは、北海道の森林・湿原の生態系や人と自然の関わりについて森林調査や森林作業などの野外体験を通して理解を深めることを目的として毎年行っている。実習では、緯度や標高、林内の光環境、湿地、火山ガス噴出孔などの自然環境下で環境条件の傾度に対して植生がどのように変化するかを簡単な調査や観察から学んだり、間伐体験で森林作業を学んだりした。
 到着した日は、ガイダンスや植生に関する講義、切り枝を使った樹木識別実習を行った。2日目は、皆伐跡地やカラマツ人工林、不成績造林地のササ原、ミズナラ天然林など様々な植生タイプにおいて、光環境の測定や植生調査を行った。2日目は、北海道研究林内のアカエゾマツ人工林においてチェーンソーを用いた間伐体験を行った。例年通り、間伐の前後に林内光環境を測定と植生調査を行い、間伐が林内の光環境に与える影響について調べた。その後、野外に自生する樹木を対象に樹木識別の実習を行った。最終日は、摩周湖・硫黄山を見学し、火山活動により出来た地形や植生を学んだ。川湯硫黄山では、アカエゾマツ林からつつじヶ原自然探勝路を歩き、火山ガス噴出孔に近づくにつれて変化する植生を観察した。その後、釧路湿原の温根内木道を散策し、湿原の植生について学んだ。温根内ビジターセンターがリニューアルオープンした最初の訪問であった。
 今年は、珍しい植物の写真を「インスタ映え、インスタ映え(2017年流行語大賞)」と言いながら撮影する植物好きの学生(本人はインスタはやっていないらしいが)がおり、北海道の自然を楽しんでいたようである。この言葉が、いつまで流行るかは知らないが、北海道の最高の自然やほかにはない貴重な体験ができるこのILASセミナーをフォトジェニックなセミナーとして売り出してみるのも悪くないのではと考えた今年のセミナーであった。