研究林100周年記念式典・講演会

研究林100周年記念式典・講演会

センター長/森林育成学分野 教授 德地 直子



 2021年3月15日,フィールド研は「研究林100 周年記念式典・講演会」をオンラインで開催し,旧農学部附属演習林の関係者や農学部林学科の卒業生,自治体の関係者,研究林・試験地の教職員など約300人の参加がありました。
 記念式典では,研究林100年のあゆみを紹介するビデオ放映を行い,德地 直子フィールド研センター長の式辞に続き,湊長博 総長から挨拶がありました。続いて,西村良平 南丹市長,菊池博之 文部科学省高等教育局専門教育課課長補佐および山下多聞 全国大学演習林協議会副会長から来賓祝辞がありました。
 講演会では,「芦生研究林の100年の歩みと新たな30年:様々な生き物が棲む森へ,多様な人がともに学ぶ場へ」と題し,芦生研究林にゆかりのある以下の方々に講演いただきました。

渡辺弘之 「50年前の演習林での生活」 元京都大学演習林長 京都大学名誉教授
芝正己 「芦生の森に学ぶ」 元芦生研究林長 琉球大学名誉教授
阪口翔太 「芦生の植物多様性を知る,まもる」 京都大学人間・環境学研究科 助教
吉岡崇仁 「木文化プロジェクト 森里海連環学」 フィールド研 教授
石原正恵 「森と人:100年を振り返る」 芦生研究林長 フィールド研准教授
林英夫 「共生の森をめざして」 南他八ケ字財産区管理委員会委員長

 講演に続く総合討論では,各登壇者から,今後の芦生研究林に望むこと,また研究林の教職員や研究者への助言や激励の言葉が述べられ,講演会は盛会のうちに終了しました。本記念式典と講演会は新型コロナウイルス感染拡大防止の観点からオンラインでの開催となりましたが,全国から多くの参加者があり,昔懐かしい風景や最新の研究成果を参加者で共有することができました。なお,本記念式典と講演会の映像は, 京都大学OCW https://ocw.kyoto-u.ac.jp/course/1026/でご覧いただけます。

 芦生研究林の99年の永い契約が終了し,新たに30年間の契約を結びました。これまで多くの自然を対象にした生態学的な研究を重ねてきた研究林ですが,近年はこれまでの地元との関係を活かし森を取り巻く人々の暮らしも研究対象として,地元と連携したシカによる食害や地域活性化などの取り組みを行うなど,社会のニーズに対応してきています。
 学生実習で通った芦生研究林は,現在とは全く違う鬱蒼とした森でした。それがこの20年にシカの過食害でみるみる下草がなくなりました。そのように目に見える顕著な変化だけではなく,気候変動で森林そして私たちの生活がどんな影響を受けるのか,研究林の使命は高まっていると感じます。学内外からのフィールド研への期待に応えられるよう,次の100年に向けて進んでいきます。

年報18号 2020年度フィールド研2020年度の主な取り組み