森林情報学分野 教授 吉岡 崇仁
このゼミは,自然環境を評価することの意味について,自然科学的,社会科学的側面から考えることを目的としている。2020年度は,新型コロナウイルスの感染拡大防止対策の一環として,講義はすべてオンラインで実施し,レポート発表会もオンラインで実施することとなった。履修生は,総合人間学部1人,理学部1人,法学部2人,工学部3人の計7人であった。
講義は,Zoomにて計8回行い,環境の価値や環境意識などについて討議するとともに,環境を評価する意味について議論した。また,最終レポート作成は,新聞やインターネット上に掲載された環境関連の話題について,その要約と記事に表れた環境評価の扱われ方をまとめた上で,その記事内容に関する自らの考えなどをまとめるものである。レポート発表会は,新型コロナウイルスの感染拡大下で徳山試験地まで出かけることができないことから,一時上賀茂試験地にての実施を計画したが,その後も感染拡大が止まっていないことからオンラインにて実施した。そのため,試験地内での森林整備作業を体験することができず,また,森林を間近に観察することもできず残念であった。
オンライン(Zoom)によるゼミは,対面授業とは異なり不便が予想されたが,少人数セミナーであることから,むしろ出席者それぞれが身近に感じながら,議論も密にできたのではないかと思われた。一方,森林作業や現場観察という点では,現地合宿ができなかったことから,フィールド教育としての効果は大きく制約を受けたものと思われる。ただ,レポート発表会は,オンラインでも十分であり,質疑応答も例年より集中して行えたと考えている。発表されたレポートの内容は,リニア新幹線建設,環境に優しいトラック運用の法律制定(カリフォルニア州),国境を越えるプラスチックゴミ,辺野古・大浦湾の保全,マイクロプラスチック問題,絶滅危惧種の生息環境悪化,ギンザケ養殖の国際認証に関わるものであった。それぞれ,環境問題としての位置づけや,環境評価や環境倫理に関わる考察がなされていた。
また,TA からは,都市化,人口減少,貧困に関する話題提供と生態学に関係する書籍の紹介があり,受講生の勉学に有益な情報が提供された。
今年度は,ILAS セミナーのすべてがオンラインでの実施となり,受講生,TA の皆さんにはご不便,ご不自由をおかけしたことと思うが,例年以上に「環境の評価」に関して深い議論ができたのではないかと思う。
2008年度から2020年度までの受講生,TA の皆さん,合宿ゼミでお世話になった芦生研究林,徳山試験地の職員の皆さまにお礼申し上げます。ありがとうございました。
年報18号 2020年度実習報告