第6回国際異体類生態学シンポジウム

河口域生態学分野 田川 正朋


 京都大学フィールド科学教育研究センターの主催(大会委員長:田中克、事務局長:山下洋)により、平成17年10月20日より25日まで、舞鶴市舞鶴商工観光センターにおいて標記シンポジウムを開催した。

 第6回に当たる本シンポジウムは、「生息域と加入の可変性-異体類生態学の未来を拓く-」と題した。参加者は21カ国から137名が集まり、実質的に国際シンポジウムの名に恥じないものとなった。発表数も、キーノート講演8題、一般口頭発表44題、ポスター発表73題と、これまで開催された中で最大規模のシンポジウムとなった。また学生による発表にはベストプレゼンテーション賞を決定した。その結果、ベスト口頭発表は米国のAndrew Seitz 氏が、ベストポスター賞は日本のToshihiro Wada 氏がそれぞれ受賞した。

 エクスカーションは、宮津ルート(宮津栽培漁業センター)と小浜ルート(小浜栽培漁業センターと福井県立大学臨海実験所)の2ルートを実施した。当日はあいにくの雨模様ではあったが合計53名が参加し、日本の有する最先端の種苗生産技術を見てもらうことができた。バンケットでは、鏡開き、刺身あてコンテストなどもあって和やかな盛会となり、参加者同士の親睦を深める良い機会を提供することができた。

 併せて舞鶴市民向けの公開講演会をシンポジウム期間中に実施した。John S. Burke 博士(NOAA ブフォート研究所)、田中克(フィールド研)、および畠山重篤氏(牡蠣の森を慕う会代表・フィールド研社会連携教授)の3名が講演を行い、会場との質疑応答が活発になされた。また、小池正孝氏による割り箸で作った魚介類彫刻の個展を併設した。これらに対する舞鶴市民の関心も高く、120名の参加者を得ることができた。
本シンポジウムおよび関連行事が新聞に掲載された回数は、朝日・毎日・京都等、計11回に及ぶ。これらは、日本において海洋生物生態学および海洋資源への関心が高いことの一つの表れと理解することができる。本シンポジウムは、このような状況において、まさにタイムリーかつ適切なテーマ設定のもとに企画されたと判断している。

 最後になったが、本シンポジウムには舞鶴市関係者およびフィールド研の教職員や学生をはじめとする多くの関係者に多大な援助・協力を賜った。事務局・実行委員会の一員として、この紙面を借りて感謝の意を表したい。

ニュースレター7号 2006年3月 研究ノート