実習報告2012「暖地性積雪地域における冬の自然環境」

森林環境情報学分野 講師 中島 皇

 今年度の実習(全学共通科目の後期集中講義)は2013年2月8日~11日に3泊4日の日程で行われた。テーマは「暖地性の積雪(山間)地域における冬の自然環境を体感する。雪氷調査法(入門)を習得し、水が態を変えた雪や氷について理解を深めその影響を考究する。特に人間をはじめとする生物への影響をフィールドで実感する。」(シラバス)である。
 芦生研究林事務所ではクリスマスを過ぎると50cm程度の積雪があり、1月末には1m30cmを越える積雪量。参加者は12名(文1(1)、法1(1)、理1、工3、農6(2):カッコは女子(内数))で冬の芦生実習としては最適の人数になった。実習は1月後半の説明会から始まる。メンバー12人が顔を合わせて実習についての説明を受けたり、自己紹介などを行うが、一番重要なのは班毎に夜・朝・昼の食事メニューと食材の量を考えることである。最近、すき焼きをメニューに入れて金額の心配をするのなら良いが、自分たちがどれくらい食べるのかが分かっていない学生があまりにも多いことにショック受けている。最終決定は大学院生のTAとメール等で連絡を取って、出発前に買い出しに行き、現地では調理から後片付けまで自分たちでこなす必要がある。TAは本実習経験のある森林生物学研究室D2山崎君が担当なので安心だ。
 今年は自転車で参加を申し出た1回生がいて、京都周辺も雪化粧のこの日は京見峠を越えるのにも大変な状態である。案の定、少し遅れて(本来は失格である。)何とか到着し、集中実習は始まった。芦生へは昨年同様に数台の乗用車に分乗しての移動になった。途中の自然環境や人間の暮らしを確認しながら、芦生に到着した。昼食後、クラブ(宿泊所)使用法の説明を受け、長靴とカンジキを装着して歩行訓練、宿舎周辺の積雪に着目した自然観察、雪の造形を写真に撮ってくるプログラムがスタートした。夕食後のセミナーでは芦生研究林の概要説明と足慣らしの間に各自が撮ってきた写真の発表会である。
 朝は握り飯を作って内杉谷林道の自然観察に出発した。今日は1日雪の上を歩く。林道脇に続くつららのカーテンが今年は盛大である。霜柱も林道の法頭に立派に成長していた。内杉谷ゲートで小休止。ヴァージンスノーを踏みしめ、幽仙橋へ。昼食後、幽仙谷の量水堰を見学に行ったり、雪を溶かしてお湯を沸かしスープを作ったりと雪とフィールドを十分堪能した1日である(写真)。夕食はカレーである。夜のセミナーはTAの研究紹介。
 3日目は青空がのぞく。クラブ周辺で積雪調査実習と便利な移動手段であるスノーモービルの試乗に挑戦した。食堂での昼食時に班を交替し、参加者はどちらも体験した。技術職員の人達が準備してくれていたので、プログラムはスムーズに進んだ。夕方からは幽仙谷で回収した流出物の中にいる水生昆虫と葉のデッサンを熱心に描く。夕食は楽しみにしていたすき焼き。満足がいくものだったか。
 最終日は班毎にレポート作成し、それを発表した。各自の感想文、アンケートそして宿舎の片付けと掃除をして、昼食後降雪に見送られながら芦生研究林の車ででJR山陰線の園部駅まで。皆元気いっぱい荷物を持って街の子に戻っていく姿がTAの鈴木君が撮ってくれた写真の中に残っていた。