森里海連環学教育ユニットを開設

森里海連環学教育ユニット 特任教授 向井 宏

 2008 年度から公益財団法人日本財団の助成金によって始まった海域陸域統合管理学研究部門のプロジェクトは,2012年3 月で終了した。2012 年度から,新しい森里海連環学教育プロジェクトが始まり,日本財団との共同事業として,森里海連環学を通して国際的に流域環境保全と統合的沿岸域管理を実践できる人材を育てることを目的として,京都大学学際融合教育研究推進センターに「森里海連環学教育ユニット」を設立した。
 本ユニットは,農学研究科,人間・環境学研究科,地球環境学堂・学舎,フィールド研が協力して運営し,それぞれの部局から4 名の教員が本ユニットに所属し,プロジェクト雇用教員4 名とポスドク研究員2 名,教務補佐員1 名,特定職員1 名,事務補佐員2 名の,合計14 名となる予定である。2012 年度は準備期間として,雇用教員は2 名とし,1名は10 月から非常勤教員として雇用した。11 月から非常勤教員の1 名を特定准教授として雇用した。
 このユニットでは,京都大学大学院生を対象とした森里海連環学教育プログラムを2013 年度から開講し,森・里・海および統合的な環境管理と政策について学び,森里海連環学に基づく持続可能で自然との共生を行う世界を作ることを国際的な舞台で実行できる優秀な人材を育てることとしている。このプログラムは,5 年間実施される。2012 年度は,このプログラムを立ちあげるための準備期間であり,ユニットの中に,運営協議会,事業推進委員会,部門会議を設け,ユニットの運営を行うための内規や申しあわせなどを確定させた。また,プログラムの科目を決定し,科目提供教員を確定し,シラバスを作成した。それらに基づき,2013 年度の学生募集に向けたポスター,パンフレット,履修要覧などを作成,配布した。
 本教育プログラムでは,必修の森里海連環学2 科目を含んで,関係する3 大学院から全体で30 人以上の協力教員によって授業科目が提供され,履修生は1~2 年で最低14 単位相当以上の講義を履修すると,修了証が授与される。講義は,原則として英語で行われる。履修生には,英語での受講やコミュニケーションに必要なスキルを身につけてもらうために,特別の英語教室も開講し,無料で英会話研修を受けることができる。また,優秀な外国人私費留学生には,奨学金を支給する。さらに,1ヶ月以上のインターンシップで国外・国内の国際機関へ出かける履修生については,旅費等の補助も行われる。国際学会等へ研究成果を発表する学生にも,旅費等の補助が行われる。このように,本プログラムは,履修生に多くの特典を用意して,大学院生の履修を待っている。

年報10号  2013年11月 p.6

(参考)森里海連環学教育ユニット