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研究活動

日本海の生物多様性

里海生態保全学分野 甲斐嘉晃


 日本海は,太平洋と狭い海峡で結ばれる閉鎖的な海です.太平洋に比べるとずいぶん生物多様性に乏しいと言われてきた日本海ですが,私が日本海側に面する舞鶴に来て5年,多くの新しい発見がありました.
 実験所の緑洋丸で水深100m前後の海底を網で曳くと,体長10cm前後のカジカの仲間,「キンカジカ」が採集されます.これはごく普通に見られる種なのですが,日本海と太平洋の「キンカジカ」と比べてみたところ,形態的・遺伝的にはっきりと異なりました.つまり従来「キンカジカ」といわれていたものには2種が含まれていることがわかりました.さらに,このような例は「キンカジカ」以外にも発見できました.面白いことに,これらには共通する特徴があります.それは,あまり動きまわらず,大きい卵を産むと言うこと.一般に魚類は,小さくて海中に漂う卵を産むことが多く,卵は広く分散すると考えられています.しかし,「キンカジカ」のような魚は,卵の時も大きくなっても分散能力は低いと考えられます.日本海の「キンカジカ」は,閉鎖的な環境で独自の進化を遂げたのかもしれません.
 舞鶴水産実験所の前にある日本海も,日本の生物多様性を考える上で重要なフィールドになりそうです.

ニュースレター15号 2008年11月