新人紹介 伊勢戸 徹

NaGISAプロジェクト 特定有期雇用教員 伊勢戸 徹


 NaGISAプロジェクトの特定助教として着任いたしました伊勢戸と申します。私は京都市左京区下鴨の出身で、京都大学の近くで産まれ育ちました。海洋生物への憧れから琉球大学に進学し、ウミウシ類の形態学を学び、卒業後は東京工業大学大学院でホヤの発生学を通して実験生物学の基本を学ぶことができました。しかし、生物学全体を考えると、分類学の重要性への認識に問題があると感じるようになり、崖から飛び降りる心境で、博士課程半ばにして分類学に転向いたしました。
 私は分類学を始めるにあたって、あえて人々に関心を持たれていない内肛動物という生物群を対象に選びました。地球上につまらない生物などいるはずもありません。そして、まだ価値を見いだされていない生物を科学の舞台に招き入れ、その生物に秘められた価値をひもといていく最初のきっかけを作るのが分類学です。生物多様性という言葉が多用されるようになって久しいですが、その多様性の未知なる部分に光を当てるのが私の役割だと思っています。
 また、生物多様性は危急性のある地球規模の環境問題の対象でもあります。その多様性の基礎情報を担う分類学も、国際協力のもとに新たな活動の仕組みを築き上げていかなければいけません。私はNaGISAプロジェクトに関わる中で、特に分類学的視点での貢献をしていくとともに、国際プロジェクトを進めるノウハウを学びたいと考えています。

ニュースレター14号 2008年7月

(注)2009年12月1日に、海洋研究開発機構(地球情報研究センター・技術主任)に異動されました。