報告 「大学の森で学ぼう2016」

ひらめき☆ときめきサイエンス「大学の森で学ぼう2016~森は水をきれいにする~」

北海道研究林長 舘野隆之輔

 京都大学フィールド科学教育研究センター北海道研究林において、日本学術振興会の研究成果の社会還元・普及事業「ひらめき☆ときめきサイエンス~ようこそ大学の研究室へ~」の一環として、小学校高学年、中学生、高校生を対象に「大学の森で学ぼう2016~森は水をきれいにする~」を開催した。今回で5回目の開催となる。開催日は、平成28年8月2日(火)で、参加者は小学生3名(うち1名は小学4年生のため事業の対象外)、中学生3名、高校生13名と引率の高校教員2名と保護者1名で、実施代表者の舘野と実施分担者の北海道研究林職員8名に加えて、京都大学の学生1名と派遣職員1名が実施協力者として、プログラム実施に携わった。また日本学術振興会の事業担当の委員1名と職員1名の現地視察もあった。
 プログラムは、受講生自らが行う野外調査や室内実験で得られたデータや研究林内で実施している観測や過去の研究などのデータに基づいて、森林の持つ水質浄化機能について理解することを目的として行った。開講式では、開講の挨拶に続き、科研費に関する説明を日本学術振興会の事業担当委員の先生が行った。開講式に引き続き大学の講義を体験するミニ講義では、「森の水質浄化機能」についての講義で、大学の講義を体験しつつ、プログラムの野外調査や室内実験のやり方を学んだ。その後、牧場地域を流れる河川や森林を流れる河川など異なる環境で河川水を採水し、また林内に設置された装置で雨、土壌水などの採水を行った。さらに森林土壌の機能を理解するための簡単な野外実験を行った。研究林内で採取した河川水を実験室に持ち帰り、pHとECの測定およびパックテストによる窒素とリンの分析を受講生たちが4つのグループに分かれて行った。最後のクッキータイムでは、得られたデータから森林のはたらきについての考察をグループごとに行い、短い発表を行った。閉会式では「未来博士号」の授与式も行われた。
 参加者の確保が例年課題であったが、今年は高校訪問の効果が大きかったと思われ、多くの参加者があった。次年度以降も継続して近隣の学校との関係を強化していきたいと考える。また最近は、遠方からの参加者もいるため、今後は近隣に限らず、幅広く広報を行うことも目指したいと考える。

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