2003年8月23日、Larval Fish Conferenceにおいて、河口域生態学分野研究室、中山 慎之介氏(M2院生)がベストプレゼンター賞を受賞しました。
Larval Fish Conference はアメリカ水産学会に属する分科会の一つで、魚類の子供の時期の生態・生理研究の分野を対象に毎年開催されている。3-4年に一度の割合で米国以外の国でも開催されており、昨年のベルゲン市(ノルウェー)に続いて今年は米国カリフォルニア州サンタクルズが開催地となった。当研究室からは教員、研修員、日本人院生、留学生など数名以上が1999年以来毎年続けて参加している。今年の大会には当研究室から研修員2名、大学院生3名が参加し7題の口頭発表を行った。都合により参加を見あわせられた田中教授に代わり、大会参加報告をさせていただく。
大会は8月19日から24日に開催された。京都ではお盆過ぎの残暑きびしい時期に当たるが、会場となったカリフォルニア大学サンタクルズ校はサンフランシスコの南約150km、大西洋に開けたモンテレー湾を見下ろす丘陵地にあり、寒流の影響で信じがたいほど涼しい風につつまれていた。参加者は合計228人。それほど大きな規模ではないが、128題の口頭発表と41題のポスター発表はいずれも魚類幼期にテーマを絞ったものであり、講演後や休憩時間の議論では短い時間内にも掘り下げられた会話が飛び交っていたように感じられた。米国以外の19カ国からの参加者により大会は国際色豊かなものとなった。
魚類の生態・生理に関する最新のトピックを含んだ研究も数多く盛り込まれており、聞き慣れない英単語に時おりつまづく一方で、多くの情報を吸収できた本大会の日程は瞬く間に消化されていくように感じられた。初めての国際学会にのぞんだ当研究室の3名の院生は、発表前にはこれまでにない極度の緊張につつまれていた様子であった。しかし発表の終了後にはその開放感も手伝ってか、海外の学生のみならず大御所と呼ばれる教授陣にも積極的に話しかけ交流を深める姿が見うけられた。
懇親会は学会参加者にとって最も楽しみな催しの一つであり、今回は米国一と評判の高いモンテレー水族館を夜間貸し切りにして行われた。マグロやクラゲが優雅に泳ぐ巨大水槽を前に名物のワインを飲む気分は想像をはるかに上回り良いものであった。本大会には10数年前より学生の発表を表彰する制度があり、発表の質を高めることと若手の育成に大きく貢献している。その表彰式は懇親会における主要イベントの一つとなっており、当研究室の院生(M2 中山慎之介)が日本人として初めてベスト・プレゼンター賞の栄冠に輝いた。もはや母国語が英語でないことは若者達の間では学会発表のハンディキャップにならないのであろうか。朗報はインターネットにより即座に京都の研究室にも伝えられ、太平洋をはさむカリフォルニアと京都の地で受賞が祝福された。
(河口域生態学分野 研修員 小路 淳)
- 大会の様子 -