新人紹介 小林 和也

森林情報学分野 講師 小林 和也

 2017年2月より北海道研究林に着任しました。京都府宇治市の出身で野生動物の多い北海道に憧れて、2003年に北海道大学に入学し、2012年に学位を得るまで大学のある札幌を中心に北の大地を満喫していました。学位を得たのちに、京都大学大学院農学研究科応用生物科学専攻の昆虫生態学研究室で研究を始めた時には、北海道に再び戻ってくるとは思ってもいませんでした。最近ようやく雪が解け、息をひそめていた生き物たちが動き始めています。これから懐かしい動植物と再会できるのを楽しみにしています。
 これまでの研究は、主に社会性昆虫を対象とした進化生態学で、特に繁殖様式の進化や最適性投資比を扱ってきました。進化の結果として、生物のあらゆる形質はその生物の生活史のどこかで何らかのメリットがあると考えられていますが、一方で、一見すると非効率的な行動や性質が見つかったりもします。特に有性生殖とそれに関連した様々な形質や行動がこの世界を彩っていますが、これらは生物の増殖に必ずしも必要不可欠ではなさそうです。もし有性生殖が無駄なものだとしたら何故こんなにも多くの生き物が採用しているのでしょう? これまではこのような特定の種の性質に着目した研究を行ってきましたが、最近は、個々の種の繁殖様式や適応的な行動の進化の影響が、群集や生態系全体へ想像以上に広がっているのではないかと考えています。折しも、森里海連環学を進めるフィールド科学教育研究センターに着任し、北海道研究林という広いフィールドで研究する機会に恵まれましたので、より広い視点で興味のおもむくままに研究を進めていきたいと思っています。

ニュースレター42号 2017年6月 新人紹介