白浜水族館特別企画展「ガタガール生物展」(3/3-5/30まで)

2018年3月3日(土)から5月30日(水)まで、瀬戸臨海実験所附属白浜水族館において特別企画展「ガタガール生物展」を開催しました。
AquariumPoster2018
 干潟を愛する少女・七瀬汐とインドア系男子・潮崎干太の生物部青春グラフィティー漫画の原画と、そこに出てくる干潟の生物を展示し、干潟の生物のことを学びます。漫画と学問成果のコラボ展示です。皆様お誘い合わせの上のご来館をお待ちします。

 会期:2018年3月3日(土)から5月30日(水)まで
 場所:京都大学白浜水族館(和歌山県西牟婁郡白浜町459)
 料金:無料。ただし、別途入館料(大人600円、小人200円)が必要

 主催:京都大学フィールド科学教育研究センター瀬戸臨海実験所附属白浜水族館
 協力:南方熊楠記念館、講談社

 ※「ガタガール原画展」を南方熊楠記念館で、同時開催の予定です

<干潟観察会>
 日時:2018年5月20日(日)14:00-16:00
 場所:内之浦干潟親水公園(和歌山県田辺市新庄町3486)
 申込方法:ページ内のPDFチラシをご覧ください 定員に達しましたので、応募を締め切りました。(2018-05-01)

(報告)

白浜水族館特別企画展「ガタガール生物展」

基礎海洋生物学分野 助教 中野 智之

 2018年3月3日(土)~5月30日(水)にかけて,フィールド研瀬戸臨海実験所附属白浜水族館において,「ガタガール生物展」を実施した。なお,隣接する公益財団法人 南方熊楠記念館では,「ガタガール原画展」を同時開催し,原画の精緻さ・美しさは南方熊楠記念館にて,干潟や干潟にすむ生き物の面白さについては当館にて学び楽しんでもらえる二段構えの展示構成となっている。
 『ガタガール』とは,月刊少年シリウス(講談社)で2016年5月号~2017年4月号まで連載した小原ヨシツグ氏による生物部青春グラフィティ漫画である。中学校の生物部を舞台に,海辺や学校での出来事を描いている。海洋生物のウンチクや少年漫画のパロディが随所に盛り込まれているのが特徴である。一度,連載打ち切りとなったが,Twitterの復活キャンペーンで見事1万リツイートを達成し,読み切りの特別篇がシリウス2017年8月号に掲載され,2017年12月末よりマガジンポケット(電子アプリ)にて,続編にあたる『ガタガールsp.阿比留中学生生物部活動レポート』の連載が再開され,2019年3月に連載終了した。
 白浜水族館では,展示エリアを利用し,ガタガールに出てくる生き物と複製原画16枚に加えて,和歌山県内・白浜周辺の干潟とそこに棲む生物に関する展示を行った。原作に出てくる特に印象的な生き物として,貴重種ムツハアリアケガニのアルコール標本,ノコギリガザミのポリエチレングリコール含浸標本,ウオノエのアルコール標本とフィギュア(羊毛フェルト製),アサリとハマグリの生態模型を用意し,それにまつわる複製原画とともに展示した。また,原作では干潟の豆知識の特別ページもあり,それと併置して,干潟の展示パネルを設置し,複製原画とともにより深く学べる構成とした。
 また,5月20日(日)14:00-16:00には,内之浦干潟親水公園にて干潟観察会を実施した。定員は20名で,3歳の男の子から60歳代まで,白浜町の住民から,遠くは鳥取県や横浜市からの参加があった。作者の小原ヨシツグ氏も参加した。
 朝倉彰所長を中心に干潟の説明と干潟観察の注意喚起を行い,各自内之浦干潟に散らばり,思い思いにスコップやバケツなどを用いて採集を行なった。観察会のまとめでは,チゴガニやヤマトオサガニ,ハマガニ,アシハラガニ,フトヘナタリ,シオヤガイなどが確認できた。なお,干潟観察会の前日には,南方熊楠記念館にて作者の小原ヨシツグ氏によるギャラリートークが開催され,こちらも盛況であった。
 地元の新聞社である紀伊民報をはじめ,朝日新聞や毎日新聞,ラジオなどにも掲載・紹介され,メディアを通じた宣伝効果に大きな期待ができた。前年までの過去十年間(平成20年~平成29年)の有料入館者数の平均が62,315人に対し,ガタガール生物展を実施した平成30(2018)年度の有料入館者数は84,864人と+22,549人増え,8万人の大台を超えた。

年報16号 2018年度