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研究活動

進化を考慮した保全生態学の確立と生態系管理に向けて

2020年11月10日、門脇浩明特定助教らによる研究論文が日本生態学会「保全生態学研究」に受理され、オンライン公開されました。

門脇 浩明, 山道 真人, 深野 祐也, 石塚 航, 三村 真紀子, 西廣 淳, 横溝 裕行, 内海 俊介
進化を考慮した保全生態学の確立と生態系管理に向けて
DOI: 10.18960/hozen.1933

 「進化」というと長い時間をかけて起こる現象であるというイメージが強いかもしれません。しかし、最近の研究によって、進化は数世代という短い時間でも生じることがわかってきました。わたしたちの身の回りに生じている色々な問題が、実は、この迅速な進化によって生じていることが確かめられつつあります。例えば、漁業によって魚をとりすぎると、魚が取れなくなるだけでなく、魚のサイズが小型化します。これは体サイズが小さくても成熟・繁殖している個体ほど捕獲を逃れやすく、そうした遺伝的な性質をもつ個体ほど次世代に残りやすいためではないかと考えられています。漁業によって魚を取り過ぎる過程そのものが、魚の小型化という進化の原因になるのです。他にも、害虫を駆除するために殺虫剤を撒きすぎると、逆に殺虫剤に抵抗性をもった害虫が進化して、農作物被害がかえって大きくなってしまうのも、迅速な進化が原因であるとされています。本論文は、迅速な進化を考慮した生物保全や生態系管理の研究の最前線について、日本語で書かれたはじめての総説論文です。本総説で紹介されている様々な概念や考え方は、研究者だけでなく生物保全や生態系管理の現場で業務にあたっておられる多くの皆さんにも役立つものであると考えています。オープンアクセスなのでどなたでもご覧いただけます。(門脇浩明)