(第5回) 森里海シンポジウム「足元から見直す、持続可能な暮らし~森里海連環学をレジリエンスで紐解く~」

京都大学・日本財団森里海シンポジウムの開催

「森里海連環再生プログラム-Link Again Program」における活動の一環として、2月16日に時計台記念館国際交流ホールにおいて、京都大学・日本財団森里海シンポジウムを開催しました。このシンポジウムでは、「現場を知る」、「向き合う」、「繋ぐ」を3本柱として、森里海のつながりを多様な側面から紐解き、協働型対話を通して、森里海のつながりの今とこれからについて話し合いました。当日は、200名を超える参加があり、協働型対話という趣旨のもと参加者同士が交わした意見を発表するなど、活発なシンポジウムとなりました。

 まず、午前中はプレセッションという位置づけでインスピレーション対話を行いました。本ユニットの清水美香特定准教授がファシリテーターを務め、岡野 豊氏(エーゼロ(株)執行役員)から岡山県西粟倉村での地域内循環型産業について、田中周平京都大学地球環境学堂准教授からマイクロプラスチックについて話題提供がありました。特に、海や川を汚す大きな要因であるマイクロプラスチックについての写真は、参加者に大きな衝撃を与えました。その後、本ユニットの赤石大輔特定助教がファシリテーターを務め、4人1グループとなって参加者同士で意見交換を行い、各グループで話された内容をプロジェクターで映して会場全体で共有しました。また、会場からも意見が出され、非常に盛り上がるセッションとなりました。

 午後からは、山下 洋ユニット長による開会挨拶に始まり、セッションI「森里海のつながりをレジリエンスで紐解く」では、本ユニットの清水美香特定准教授がファシリテーターを務め、足立直樹氏((株)レスポンスアビリティ代表取締役)から自然に学ぶ持続可能な社会へのヒントについて、井上英之慶應義塾大学特別招聘准教授から一人ひとりの行動から起こす社会の変革について話題提供がありました。

 セッションII「現場を知る」では、人と資源、時間と空間をつないでいる現場の取組み紹介がありました。本ユニットの清水夏樹特定准教授がファシリテーターを務め、千葉 一氏(東北学院大学非常勤講師)から、宮城県気仙沼市前浜地区の震災復興事業における椿の森プロジェクトの実践とそれを支える地域の歴史文化について、岡野氏から西粟倉村の循環する地域経済の創出についての話がありました。

 本シンポジウムでは、本ユニットが進めている高大連携事業に関わる高等学校から多くの高校生が参加しており、会場内に高校生が作成したポスターを展示しました。高校生によるポスターの一言紹介の後、休憩時間を利用してポスターセッションを行いました。多くの参加者からポスターへの質問が次々投げかけられ、日頃の成果を積極的に発信する高校生の姿があちらこちらで見られました。

 セッションIII「向き合う」では、本ユニットの法理樹里特定研究員がファシリテーターを務め、武知実波氏(SURFRIDER FOUNDATION JAPANアンバサダー)から日本の海岸環境の保全活動について、清野聡子九州大学工学研究院准教授から東日本大震災の復興計画への地域住民の参加について話題提供がありました。その後、本ユニットの德地直子教授及び清水美香特定准教授がファシリテーターを務め、6人のパネラーが登壇し、森里海連環学とレジリエンスの関係について議論を深めました。会場から出された意見を会場に映すとともに、パネラーからも問題提起や提案があり、予定されていた時間が足りなくなるほど活発な意見交換となりました。

 参加者からは、協働対話型というのは初めてで他の参加者との意見交換は新鮮だった、高校生のポスターセッションはとてもよかった、高校1年生から70代の方まで幅広い意見が聞けてよかったなどの感想が寄せられ、盛況のうちに閉会しました。

ゲストの武知実波氏所属のSURFRIDER FOUNDATION JAPANに記事が掲載されました。

https://www.surfrider.jp/activity-report/4718/

~森里海シンポジウム報告~
(第1回) 人と自然のきずな~森里海連環学へのいざない~
(第2回) Integrated Ecosystem Management from Hill to Ocean
(第3回) 「人と自然のつながり」を育てる地域の力
(第4回) 森里海連環を担う人材育成の成果と展望
(第5回) 足元から見直す、持続可能な暮らし~森里海連環学をレジリエンスで紐解く~
<中止> Link again, Link to our future -森里海をつなぐ、未来へつなぐ-