実習報告2020「博物館実習(館園実務):舞鶴水産実験所」

里海生態保全学分野 甲斐 嘉晃


 舞鶴水産実験所には博物館相当施設である水産生物標本館があり、本来はここを拠点として2020年11月16日から20日という日程で博物館実習(館園実務)を行う予定であった。しかし、新型コロナウイルスの影響により、宿泊を伴う実習の実施が不確定な状況であったので、今年度は京都市の吉田キャンパスにある京都大学総合博物館でも場所を借り、京都で4日間と舞鶴で1日の実習を全て日帰りで行った。参加者は理学部と理学研究科の学生それぞれ2人の合計4人であった。
 16日は京都の総合博物館において、魚類の基礎的な知識と標本の基本的な扱い方について解説し、地下にある収蔵庫を見学して標本管理の実際について学んでもらった。17日は舞鶴での実習を行った。10時に東舞鶴駅に集合し、午前中は京都府漁協を訪ね、定置網の選別作業を見学して水揚げされる魚から標本サンプルを頂いた。実験所に移動して水産生物標本館を見学したあと、鈴木啓太助教の協力のもと教育研究船・緑洋丸に乗船し、舞鶴湾内で海洋生物の採集方法を学んだ。18日以降は再び京都で実習を行った。邉見由美研究員のサポートも得つつ、緑洋丸で採集された無脊椎動物を用いて、標本作製や学術的なスケッチを体験してもらった。19日は定置網で頂いた魚類を用いて、標本作製と写真撮影、一般への展示を想定した解説書を作ってもらった。20日には標本の貸し借りについて実習し、実際に海外の博物館から届いた標本を使った作業も行った。最後に、標本の配架作業などを行い、また実習全体を通したまとめも行った。
 実は実施予定日の直前に、「新型コロナウイルス感染拡大防止に伴う活動制限のガイドライン」の対応レベルが下げられたことにより、宿泊を伴う実習が認められたものの、実験所側で食事や宿泊の受け入れに対応する時間が十分に無く、上記の対応となった。しかし、実習の内容としてはほぼ例年と変わらないものができ、当初の実習目的は達成されたと考えている。なお、実施にあたっては総合博物館の本川雅治教授、岩﨑奈緒子教授、佐藤崇研究員の全面的なサポートを頂いた。ここに記して感謝申し上げる。