毎木調査の野帳のデジタル化に向けて

北海道研究林 宮城 祐太

 フィールド研の研究林および試験地では、森林動態の解明や森林蓄積量の把握を目的として、林内に設けた調査区内の樹種の記録、胸高直径および樹高の測定、獣害等の有無を調べる毎木調査を継続的に行っています。現在、北海道研究林には、人工林と天然林の調査区が179箇所あります。各調査区を5年ごとに調査するために、年間に約35箇所で、4,000~8,000本の樹木を測定しています。
 毎木調査は、現場で紙の野帳に測定データを記入し、持ち帰った野帳を見ながら表計算ソフトに入力するという手順が一般的です。この「データのデジタル化」には、多くの労力を要します。近年、森林・林業分野において、タブレット端末で表計算ソフトに直接入力する野帳のデジタル化が進んでおり、北海道研究林でも導入を進めています。
 紙の野帳は、データの記録が容易で記録ミスが少ないのですが、データのデジタル化までは現場でできません。一方で、タブレット端末を用いたデジタル野帳は、データを直接入力するので、デジタル化が現場でできます。欠点としては、紙の野帳と比較して入力ミスが起こりがちなため、その場での確認に時間がかかることです。
 そこで、デジタル野帳の利用に際して、次の2点を工夫しました。1点目は、入力した胸高直径の測定値が、前回より減少している場合と、5.0cm 以上大きい場合には、セルの色が変わり、視覚的に注意を促すようにしました。2点目は、樹種名や備考などを定型文とし、選択式にすることで入力時のミスの低減とスピードの向上を目指しました。さらに、このような条件設定を簡便化するために、野帳作成支援ツールを作成しました。「紙」野帳から「神」野帳へ、とまではいきませんが、今後も業務の効率化に努めていきたいと思います。

ニュースレター53号 2021年2月 技術ノート