北海道研究林における野生動物調査

北海道研究林 奥田賢・林大輔

 北海道研究林ではエゾシカの生息密度と植生への影響の把握を主な目的に、2010年度からライトセンサス(日没後に林道からライトを照射して頭数等を調べる方法)や林道走行中のエゾシカ目撃情報調査、自動撮影カメラによるカメラトラップ調査等を行ってきました。2020年度は業務の効率化を目指して、ライトセンサスにタブレット端末を利用したデジタル野帳の導入、得られた調査データと位置データを自動でGIS データベース化するプログラムの作成、自動撮影カメラをフィルムからデジタルへの移行等の改善を順次実施しました。これらによってデータ整理等にかかっていた時間やフィルム代、現像代等が削減できました。
 野生生物の情報は問い合わせも多く、基礎データとして需要が高いものです。そこで2021年度からはその他の野生動物の調査にも注力すべく、鳥類スポットセンサスや野生動物目撃調査、フィールドサイン調査(糞や足跡などの痕跡を調べる調査)を新たに開始しました。鳥類については調査経験者が誰もいないため、他機関で行われている調査方法を参考にして実施しました。調査では必ず鳥の姿を視認できるわけではないので、鳴き声で同定できる必要があります。そのため、調査前に何度も現地に赴き、鳴き声と姿を一致させたり、鳴き声をサウンドレコーダーで録音して後から調べたりして、同定能力を向上させるように努力しています。今後、現在実施している調査以外にも多様な野生生物のデータを蓄積していくことで、教育や研究に役立てればと思っています。

ニュースレター56号 2022年2月 技術ノート