瀬戸臨海実験所研究棟改修工事

瀬戸臨海実験所長/基礎海洋生物学分野准教授 下村通誉

 2020 年2 月に瀬戸臨海実験所研究棟の全面改修の予算が交付決定され、2020 年2 月18 日・19 日に施設課との打ち合わせをしてヒアリングシートの作成を行った。研究棟改修工事開始に先立ちライフライン(構内の水道と電気・通信設備、第一水槽室ろ過設備、浄化槽・非常用発電機更新)工事が2020 年10 月中旬~2021 年3 月末の期間に行われた。またそれに先立ち、2020 年8 月17 日~19 日に文化遺産学・人文知連携センターにより埋蔵文化財調査(燃料タンク・浄化槽設置・新営棟建設に伴う調査)が行われた。
 工事期間中の学生・教員らの研究場所と研究機器、什器、書籍などの一時保管場所の確保が必要であった。京都大学防災研究所白浜海象観測所の旧建物と旧三舞中学校を借りられることとなり、防災研究所と宿泊棟食堂に分子実験室の機能を持たせ、大半の荷物は旧三舞中学校に運び入れた。また、経年劣化のために買い替えの必要な大量の機器・什器を処分するために研究棟から運び出して工事開始までに研究棟を完全に空にした。学生・教員らの研究場所として防災研究所と宿泊棟の他に、特別研究室も使用した。
 2021 年1 月中旬より研究棟の全面改修工事(新研究棟建設を含む)を開始した。工事は6 月末まで行われ、6 月24日に完成検査が行われ、2021 年6 月30 日に引き渡された。7 月から8 月にかけて主な研究機器・什器の保管場所からの移動や新規購入による搬入作業が行われ、研究棟の機能が復活した。
 全面改修に付随して、次の改善を行った。台風対策として2F のすべての部屋の窓にルーバーの設置、特に風当たりの強い部屋には雨戸を設置した。他に、館内放送システムの導入、所内ネットワークの集中管理化、講義室のOA フロアの導入と視聴覚システムの更新、トイレの全面更新(女性用トイレを2 室から3 室に増設)、環境DNA 実験室の新設、天秤室の新設、組織化学室の排風機に接続する屋上のドラフトモーター更新、セキュリティー対策として棟出入り口の電子錠の導入、環境改善のための二重窓・断熱壁の導入を行った。また、別棟にある図書室の集密書架の更新を行った。部屋の更新に伴い、共同利用スペース、学生研究室、新棟を中心に多くの機器類と什器類を新規購入した(全てのシンク、大型モニター投影用顕微鏡カメラシステム、薬品保管庫、凍結乾燥機、定温乾燥機、純水製造装置、電子天秤、システム実体顕微鏡、イオンスパッタ、フリーザー、給湯器、サーマルサイクラー、恒温器、排気ファン、講義机、実験台、学生デスクなど)。
 研究棟改修と新研究棟建築に付随して減築が行われた。特別研究棟は2021 年12 月~2022 年1 月に、ウィンチ室・潜水器室は2022 年1 月~2 月に取り壊された。工作室・ガレージを2022 年10 月~12 月に、静修寮は2023 年1 月~3月に取り壊す予定である。
 全ての工事は入札を経て行われたが、ライフライン工事も研究棟改修工事もコロナ禍やその影響があると思われる入札の不調などがあり、 2020 年10 月に改修工事を開始する予定が2021 年1 月開始にまでずれこんだ。
 尚、研究棟の全面改修の間、実習受け入れが困難になることが予想されていたが、新型コロナ感染拡大の影響で実習中止が相次いだため大きな影響は受けなかった。

年報19号 2021年度 主な取り組み